第5話 闇に覆われる世界

 闇が広がっていく。

 世界が終わりに近づく。

 我々に何が出来るのか。

 我々は抵抗できるのか。


 空が暗くなっていく。

 何ができるのだろうか。

 無力な我々に。


 魔王が話しかけてくる。

 世界はもうすぐ闇に染まる。

 魔族の国になる。

 お前たちはさっさと遺書でも書け。

 残す相手はいないがな、と。



 残っているのは絶望だけなのか。

 本当に我々に救いはないのか。



 そこに光の剣を持った戦士がやってきた。

 彼は空に剣を掲げ、光を放った。

 我々は思った。この人こそこの世界を救う勇者だと。

 彼は戦った。我々のために。


 彼の一撃は敵を穿った。

 魔王は死んだ、勇者の命と引き換えに。

 我々は感謝しなければいけない。


 我々は勇者を祭る祭壇を作った。

 勇者の功績を讃えるために。

 勇者に永劫に感謝できるように。


 勇者が忘れ去られないように。

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