2分0秒小説『オラオラ詐欺』

 オッス、オラだ。オラだぞ、オラ。分かるか?そう、おめぇが今言ったそのオラでまちげぇねぇ。

 突然だけどオメェの息子がスゲー強えー奴に殺されかけてっぞ。まぁ脇見運転で後ろからオカマを掘ったオメェの息子が悪いんだから自業自得だけどよぉ、このまんまじゃあブッ殺されちまうぞ。どうする?オラならオメェの息子を助けれっけど?


 どうやって助けるのかって?決まってるだろ。オメェの息子の敵に、元気玉を食らわしてやるのさ。元気玉?知らねぇのか?元気玉っつうのは、オラが両手を天に突き出して、地球の皆からちょっとずつ力を貰って作るスッゲーパワーの塊だ!そいつをぶつけられたらどんな悪い奴でも星ごとぶっ飛んじまう。


 え?なに?地球ごとぶっ壊れたら?皆死んでしまうって?大丈夫!そん時は神龍に生き返らせてもらうから。え?何?じゃあ神龍に頼んで、示談にできないかって。いやぁ、今ドラゴンボールは石っころになってから、後一年またなきゃなんね。だからやっぱり元気玉しかねぇ。とにかくオメェは電話の前で踏ん張ってよぉ。オラにパワーを送ってくれ……どうした早くやってくれ……え?もうやってる?駄目だ!全然力が集まらねぇ。こうなったら最後の手段だ。


 いいか?今からオラが言う口座に指定された金額を振り込んでくれ。そうすればオラの現金――じゃなかった元気玉はフルパワーになっから。メモの準備はいいか?集英銀行……鳥山支店……普通口座……○××○△358……ちゃんとメモったか?じゃあ金額を言うぞ200万円。聞こえたか?200万円をメモした口座に振り込むんだ。そうすればオメェの息子は助かる。じゃあオラはオメェから現金が振り込まれるのを待ってっぞ。なんかオラわくわくしてきた……え?なに?オメェんとこに、息子はいねぇって?!


 …………


 どうやらオラ、電話する相手を間違ぇたみてぇだ。

 きんとうーーーーん。

 

 ガシャ!

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