共同依頼
「おお、レイアか。久しぶりだな」
「お久しぶりです、メイゲルさん」
身長は少し高め。マシロやミーアトリアと比べれば大きいハトリールでも、頭一つ分ほど小さく見えるだろうか。
淡い桃色の髪と金色の瞳は特徴的で、俺に向けた微笑みは野原に咲く一輪の花の如く、他を寄せ付けない美しさを放っていた。
全身凹凸のほとんどない体という点だけが、女性として少なからず彼女の魅力を下げる要因になっているだろう。
「レイアちゃんおはようございます! そうです、今日はお仕事ですよ」
「レイア様、おはようございます」
「れいれい、おはヨ……っと、私はそろそろ行くヨ」
「おう、行ってこい」
ひらひらと手を振りながら去って行くハトリールを皆で見送る。この場の全員、彼女が月初めは宗教関係で出掛けるということを知っているので快くサボりを容認する。
「レイアはどうしてここに?」
「僕もお仕事ですよ。僕は今年で十五歳、成人ですから。より一層頑張らないと!」
「だ、そうだぞマシロ」
「そんな目で見ないでください。これでも親元離れて出稼ぎに来てるんですよ、十分偉いと思います」
「出稼ぎに来たわけじゃないだろうが」
しかし、確かに親元離れてやってきているという点は褒められるところかもしれない。マシロも十五歳とまだまだ若い。成人したて、こっちに来た時には十三歳だ。偉い、というよりは苦労しているだろうと思わされる。
いや、こっちに来てからのことを考えるとそんなことも無いのかもしれない。
「っと、話がそれちゃったな。レイア、今日の仕事は決まっているのか?」
「いえ、これから相談しようとしていたところです。もしかして、誘ってくれるんですか!?」
「お、おう……良かったら一緒にどうだ? と言っても、俺はほとんど見学になるんだけどな」
「どうかしたんですか?」
「いやまあ、それは後で話すとして……で、どうだ? 今のところマシロとハトリールで、隣町の出たって言うゴブリン退治に行く予定なんだが」
「ぜひご一緒させてください!」
レイアは両手を胸の前で握りしめ、ふんすっ、と勢いよく頷いた。
「だそうだ。クォン、そういうことでよろしくな」
「はい、受注を確認しました。レイアさんの担当にもこちらから伝えておきますね。報酬の分配につきましては、また後程話し合って貰えればと思います」
「おう。それじゃあ時間も惜しいし、マシロ、さっさと盾借りて来い、行くぞ」
「はい! ちょっと待っててくださいね!」
慌ただしく物品貸し出し用のカウンターに向かったマシロの背を一瞬見送り、俺たちは役所を後にした。
「どうして置いて行くんですか!?」
「いや、どうせ追い付くだろうからって、少し早く出てただけだが」
「酷いです! どうしてマシロの扱いはそんなにぞんざいなんですか!? レイアちゃんには優しいのに!」
「そ、そんなことないよ無いと思うよマシロちゃん! べ、別にメイゲルさんは僕に特別優しいなんてことは……」
盾を背負い、文句を言ってくるマシロの相手をレイアがしてくれるようなので、俺とミーアトリアは足を止めることなく街の外へと向かった。
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