連日勤務
「本当にお疲れ様でした! 先月は依頼数のノルマを達成! その上討伐数では目標数の三倍以上で達成です! 魔物の危険度に応じたポイントでは役員トップ! 流石ですね、今月もよろしくお願いします!」
本当に散々だったゴーレム討伐の翌日、月初めに支給される給料を受け取りに来た俺たちを、クォンはとても嬉しそうに出迎えた。
「……そうだな。ミーアトリア、まだ余裕はあるか?」
「昨日は出番が無かったですし、体力には余裕がございますよ。私一人で受けてまいりましょうか?」
「マシロも全然元気ですよ? 新しい月になったってことは保険も更新ですよね? クォンさん、せめてマシロに盾をください……ッ!」
「生憎月初めはお祈りの日でね、私は外させてもらうヨ」
「ああ、分かった。クォン、二人でも出来そうな依頼を探してくれ」
昨日のゴーレム討伐は本当に酷かった。
体重が重く、攻撃力の高いゴーレム相手に力技は通用しない。ミーアトリアの斧も切断に特化している故に防御力の高いゴーレムとは相性が悪い。それに、廃墟周りは他の冒険者も多く、《
マシロの装備ではゴーレムの相手などまともには出来ないし、ハトリールは攻撃魔法を使えない。そういうわけで、俺が頑張ることになったわけだ。
俺のギフト《毒使い》はゴーレム相手にでも通用する。ゴーレムも感覚を持つ生き物、毒を食らいそうなイメージは一切ないが実は通用するのだ。
というわけで相手に痛みと苦しみを与え続け、倒れたところにハトリールの家にあった金槌を使ってボコボコにした。
解体には二時間程度要したが、何とか終わらせた。その間ミーアトリアたちは手製の弁当を食べながら平原で過ごしていたのだが、文句を言う気力すら湧かない程疲れ切っていた俺は、風呂も入らずに眠ってしまった。
マシロが臭いと五月蠅いので朝にシャワーを浴び、朝食を食べてすぐやってきたわけだが、疲労は全く抜けていない。
ミーアトリア曰く、肩が落ち、背骨が曲がり、草臥れた顔をしていて情けなく酷い姿をしているらしい。主に対して酷い言い様だと思う。
「それでしたら、ここから東に行った所にある小さな村をご存知ですか? その周辺でゴブリンの目撃情報があって、その捜査、もしくは討伐依頼が出ていますよ。それでしたらお二人でも熟せるのではないでしょうか」
「どうだ、二人で行けそうか?」
「数が多いと、少し面倒ではありますが……手斧の感覚にも慣れてきましたし、練習がてら行ってみるのも悪くありませんね」
「マシロは行けますよ! あ、ただあんまり数が多いとマシロも困りますね。マシロ、一対一が得意なんですけど」
「そうだな。誰か手伝えそうなやつを探して……」
カウンターにもたれながら辺りを見渡し、誰かいないかと見てみると、ちょうど役所の扉が開いた。
「おはようございま、あ、メイゲルさん! それにハトリールさんもミーアトリアちゃんも、マシロちゃんもいるじゃないですか。珍しいですね、お仕事ですか?」
そこに一人の少女が現れた。
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