依頼
「と、いうわけで本日入っている依頼はこれくらいです」
「クォカインまだ顔赤いぞ熱でもあるんじゃないかほらめいめいに熱でも測ってもらエ」
「ん? おうそうだなクォンおでこ出してくれ、俺のと合わせて測ってやる」
「2人とも揶揄わないでください!」
場所は変わって役所の中。ニバールに唯一ある公的施設である。
先程、その正面玄関前でとっ捕まえられた俺たちは、強制連行されて受付へとやって来ていた。
「も、もうっ、本当に止めてくださいよね。メイゲルさんはただでさえロリコンって噂が広がっているんですから、私まで巻き込まれたくありません」
「おい待てどこのどいつだ俺をロリコン呼ばわりしてるのは」
「そーだソーダ、私をロリ呼ばわりしたやつを早く出セ」
「お、落ち着いてください2人とも、ただのヤジですから!」
許せない。俺がロリパーティーに入っているからとロリコン呼ばわりしたやつは後で絶対に見つけ出してしばいてやる。
「ま、まあそうは言っても私はそこそこ背はありますし、胸だって、ないこともありませんから、ロリと呼ばれることも無いでしょうけどね」
「ああ、確かに柔らかかった」
「ちょ、ちょっと何考えてるんですか!?」
「おい待てクォカインさっきの言葉は私に喧嘩を売っているということでいいんだよナ?」
30分くらい経ってマシロたちが合流するまで収拾が付かなかった。
「じゃあ、町はずれのおじいさんのお手伝いをすればいいんですね?」
「はい。そろそろ夏野菜の収穫の時期なので、そのお手伝いをお願いします」
「分かりました!」
役所の中で魔法を使おうとしたハトリールを俺が抑えつける中、マシロが代わりに依頼の説明をクォンから受けていた。
と、おもむろに両脇から俺に羽交い絞めにされているハトリールが口を開いた。
「めいめい、間違っても両手を内側に向けるんじゃないヨ? 当たっちゃうカラ」
「何にだ? 肋骨か痛い痛い痛いその杖銀製だから普通に痛いんだよ止めろ!」
「謝レ! これでもAAはあるんだぞ謝レ!」
「無いみたいなもんじゃねえかだから痛いって止めろ!」
両手を拘束されながらも、器用に手首だけで杖を動かして頭を的確に殴って来るハトリールをどうにか抑えつけ、説明を受けて帰ってきたマシロと、呆れ顔のミーアトリアを連れて俺たちは農園へと向かった。
「ちなみに私はAカップです」
「裏切ったなミーア!」
後に聞いた話だとマシロはC、クォンはハトリールの目測でDだそうだ。
またいらない知識ばかり増えてしまった。
「おお、ここが農園ですか! 広いですね! 大きいですね!」
「胸のコト? 胸のコトを自慢してるのカ?」
「ハト落ち着け農園って言ってるだろ」
先程からことあるごとに自分の胸元に手を当てて不機嫌になって行くハトリールを宥めながら、俺も辺り一面に広がる農園を眺めてみた。
「しかし結構広いな。これ全部収穫するのか」
「……依頼内容では収集魔法が使える魔法使い必須ってあったけド、これは確かに必要だネ。そっちは任せてヨ」
「ああ、了解だ」
「じゃあ、ハトちゃんに収穫は任せて、マシロたちも頑張らないといけませんね! ミーアトリアちゃん、頑張りましょう!」
「はい、新鮮なケチャップが作れそうです」
「あ、あの、どうしてマシロを見てるんですかマシロは収穫物じゃないですよ!?」
頼むからもう少し落ち着きを持ってくれ。
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