『明日僕はザクに乗る』

「怒りは情熱に悲しみは優しさに変えろ」

 父が遺した言葉だ。母を亡くし男手で僕と妹を育てた父。働き詰め、体を心を壊し、作業中の事故で命を失った。アースノイドだった父は差別され続け、それは僕らにも及んだ。

 明日僕はザクに乗る。

  怒りを情熱に、悲しみを悲しみのまま抱いて。


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 探るように掌を押し当てる。深緑の装甲冷たい。宇宙の温度が染み着いている。俺と同じだ。なぁお前、家族はいるか?俺はいる。

 兵士は最高だな。死が有意義にカウントされる。自らの死も敵の死も。

 明日俺はザクに乗る。

 子供の写真を操縦席に貼って。

「まだ俺の死はカウントさせない」


********************


 ニュータイプなんかじゃない。私、誰の気持ちも分からない。機械としか通じることができない。私の感情なんて殺戮のスイッチでしかない。

「死ぬ前に誰かを好きになりたかった」

 特別な力なんて要らない。ただ普通に私は・・・

 明日私はザクに乗る

 サイコミュ搭載の試作機に。

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