再び2階層へ。

 アイアンが可哀想だったので、緊急時用の天然水をコップについであげる。

 ごきゅごきゅとゆっくり飲み干し、平穏を取り戻すアイアン。



 「ぎゅあ!ぎゅあ!。」



 美味しいけど休憩でピリ辛ウインナーを食べるのは控えようかな。

 水もそんなに持ってないし。

 次の休憩はピーナッツにしよう。


 


 お酒も回り、気分が良くなって来たので探索再開。

 一階層でスケルトンばかり倒すのも、なんだか味気なく思えて来た。

 

 安全確実に収入を得られるが、変わらない骸骨の顔ぶれに、飽きてしまった。 

 

 そうだ、

 誰だったかの言葉で

 「変化の中に身を置いてこそ、人間は成長する」というセリフがあったはず。


 良い言葉だ。

 

 やはりここは自分も、成長と新たな刺激を求めて2階層以降へ降りよう。


 

 酔っぱらっていても間違わなくなった一階層を、フラフラと進む。

 スケルトン周回では通らない2階層への階段に来て、コウモリに服をボロボロにされ、逃げ帰った記憶がよみがえる。

 

 大丈夫。今回はアイアンがいる。

 アイアンの手が届かなかったとしても、タマがいる。


 他力本願ではあるがなんとかなるだろう。

 そう。これもチームワークということで。



 岩肌に手を付けながら階段を降りていく。

 何かに躓いたのか転げ落ちそうになるが、伸びたアイアンの手に助けてもらい、事なきを得る。

 

 足元を確認すると左手用の皮の籠手。

 安心感のある緑色で、造りもしっかりとしている。


 なぜこんなものが階段に有るのか分からないが、ドロップアイテムとして拾って置く。

 籠手以外に変わったものは見当たらず、そのまま進んで2階層に到達。




 さぁ、リベンジだ。


 ………と言っても、自分が戦うわけではないのですが。



 まずはアイアンがコウモリにどう対処するか見せてもらおう。

 タマにコウモリまで案内して、と話そうとしたら、胸に衝撃。

 服の胸元に小さな穴が空く。


 ああ、そうだ。

 前もこんな感じで、2階層に降りてすぐだったなぁ。


 経験済みなので、慌てること無くコウモリのいそうな上を見る。



 いた!



 天井付近で逆さまにぶら下がるコウモリが2匹。



「まかせた!アイアン!。」

 

「ぎゅあ!、ぎゅあ!。」



 アイアンの応じる声と同時に、ビュンと勢いよく手が伸びる。

 10m以上離れていたコウモリを瞬きの内に縛りあげ、そのまま地面に叩きつける。

 

 石トカゲと同じくコウモリも一撃で黒い粒子に変換。

 素晴らしい。


 残った魔石を拾い、強さを示したアイアンの頭を撫でる。

 服が破れたがこのぐらいなら許容範囲。


 タマに見つけてもらい先手を取れば、服が傷つくことも無いだろうし。

 これなら2階層でもやっていけそうだ。


 いい感触を得られたので記念にお酒をもう一本。プシュッ。

 アイアンと半分こして、二人で上機嫌になった後、タマに強めのパンチをもらいながら探索を再開した。

 

 


 

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