てーる おぶ いんばーしょん!
やmax(不定期投稿)
Chapter.0
第1話 表と裏。封筒。
「――私たちはあなたに会えて本当に嬉しかった」
黄昏時。その場にいた全員は同じ方向を向き、一点を見つめている。美しく金色に輝く太陽。
「この景色を見ると、どこか懐かしさも感じるよね」
俺もその情景に見とれていた。
日没と共に役割を終える。その時まで――
*
自分たちが生きている世界。この世界に裏があるのならばどんな世界なのだろうか。
――いや、裏というより、逆の世界。
もしここが高い天空の世界なら、その逆は深い地底の世界。輝くように明るい世界ならば、闇に呑まれそうなほど暗い世界だろう。
簡単に例えるならば「天国と地獄」。
そんな世界、存在するはずがないと思っていた。――そう、思っていたのだ。
*
俺はいつものように夜ご飯(弁当)を買いにコンビニへ足を運んでいた。
家の目の前の通りにあるので、料理をするのが面倒な時はいつも使用していた。――ほぼ毎日だが。
今日は面倒というより、バイトで遅くなって疲れたので寄っていた。
「今日はこれにしよう」
俺は唐揚げ弁当と缶ビールを手に取り、カードで会計を済ませる。
レジにはいつもの店員。同じ年くらいの女性。
「こちら温めますか?」
「お願いします」
温めている時間、この時間って何をするのが正解なのだろう。
ほら、相手も気まずいのか長い髪の毛をくるくるといじっている。
――そんなことを考えてる間に温まったようだ。
「レジ袋は、――要りませんよね?」
ほぼ常連なので、家が近いことももちろん知っているだろう。
「ああ、大丈夫です。すぐそこなので」
そう答え、俺は弁当を貰い、歩き出す。
「ありがとうございました!」
コンビニを出ると、家の前に車が止まっているのが見えた。
――そしてすぐに車は動き出した。
「こんな時間に郵便か?」
俺が家の前のポストを開けると、中には1枚の封筒が入っていた。
暗くてよく分からないため、封筒を手に取る。
「えーっと、『重要書類在中』?」
よく分からないが、とりあえず家の中に入ることにした。
「ただいま」
一人暮らしなので誰もいないが、いつも無意識に言ってしまう。両親は3年ほど前から仕事で海外へ行っているため、もう俺の家と言えるだろう。――多分。
机に弁当と封筒を置き、弁当を食べ始める。
俺は封筒を見つめて中身を予想していた。
「あれ?」
俺はこの封筒のある不自然なことに気が付いた。
送り主が書いてない。……宛先も。何でこんなのがここに届いたのだろうか。
「――開けてみるか」
封筒を開けると、中には紙が二枚。A4サイズの大きい紙と、住所が書かれた小さな紙。
俺はA4サイズの紙を読み始める。
「なんだ? ――もし日々の生活に退屈を感じているのなら毎日続けて楽しいトレーニング……ってこれ、広告じゃねーか!」
思わずそう突っ込んでしまった。
「なんだよ『重要書類在中』って……ん?」
書類にざっくりと目を通していると一番下の行に赤い文字で『助けてください。心の優しい人にこの手紙が届くことを願います。』と書いてあった。
――誰かが助けを求めている?
「この住所に行けばいいのか?」
俺は向かうことにした。――今すぐに。
いたずらかと疑う人もいる。というかほとんどの人が見て見ぬふりをするだろう。
行って損することではない。いたずらならばそれで安心する。迷惑だと伝えられる。
――ただ本当に助けを求めているのなら……全力で協力しないといけないな。
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