10、妹の乙女卒業(★)

「失礼します……」


 おずおずと薄暗闇の寝室に入り、手をモジモジとさせうつむくアンジュの目の前に、普段後ろに一つで結んでる絹のような金髪を結ばず下ろし、ガウン姿のゲニーが近付いてきた。女は度胸というデーアの言葉を思い出し、アンジュはガウンをおもむろに脱ぐ。パサリと服が床に落ちる音がし、沈黙が流れる。怖々目線を上にあげ、ゲニーの顔色を伺った。目線が合い暫し見つめ合う。


「あ〜。ごめん。思ったのと全然違う」


 そう言いながらゲニーは顔に両手を当てしゃがみ込んだ。


 何か失態をしたのではと青ざめるアンジュの反応に気づいたゲニーは恥ずかしそうに指の間から顔を覗かせて補足する。


「違うんだ。悪い意味じゃなくて。あんまりにも綺麗だからどうかなりそう。想像してた何億倍も可愛い」


 愛しい人の突然の告白を聞いて、緊張してるのは自分だけじゃないとアンジュは安心した。同時に目の前の逞しい体をもつ美丈夫がなんとも可愛く見えてくる。この人が愛しい、守ってあげたい、支えたいという気持ちで胸が熱くなるのを感じた。


 アンジュは前かがみになりゲニーの前髪を片手で上げ、額に口付ける。


「私も思ってたのと違ったよ」


 アンジュはふふっと微笑んだ。


「それは悪い意味だろ」

「さぁ? それはこれからで決まるんじゃない?」


 挑発されムスッとしたゲニーはひょいとアンジュをお姫様抱っこし、ベットに下ろした。アンジュは怒ってる割に優しく下ろしてくれるゲニーのことがまた好きになる。好きの更新が止まらない自分に半分呆れつつ、これから最愛の人に抱かれることへ胸を高鳴らせた。


 仰向けにされ見上げるとゲニーの長い髪が顔にかかる。スカーレットの瞳と目が合い、燃えるような二つの宝石が揺れているのが分かった。瞳が近付いてきて、アンジュはまぶたを閉じる。唇に柔らかい弾力のあるものが吸い付いた。気持ちよくふわふわした感覚に酔って、キスしてるんだと分かるまで少し時間がかかる。ゲニーはアンジュの上唇を自身の上唇と下唇で挟んだと思ったら今度は下唇にもそうした。交互にアンジュの唇をはんでいく。唇の感触を楽しんでるようなキスをされ、アンジュは瞼を開けた。視界にこの世界で一番愛しい色が入り、思わず笑みがこぼれる。そして唇の関わりが段々深くなった。唇をこじ開けるように舌でつつかれ、口内への侵入を許可する。ゆっくりと味わうように口内を蹂躙され、アンジュは支配されてることに喜びを感じた。唇同士が離れ、銀の糸の橋がかかる。少し荒い息継ぎをした二人はまた互いの唇を貪った。少し痛くなるまで唇を重ね続けたゲニーの唇が離れたと思ったら、アンジュの首筋に吸い付く。


「ひゃっ!」

「感じてる、可愛い」


 元々あけすけな物言いをするゲニーだが、さっきから可愛い、綺麗だ、愛してると甘い言葉でアンジュを包んだ。


 アンジュはその言葉を言われる度、どろどろに溶けてしまいそうになる。実際、言われる度じわっと秘所が濡れるのを自覚していた。


 ゲニーは自分の瞳と同じ色のベビードールを着てるアンジュの胸のところにあるリボンをシュルリと取る。アンジュの細身の体に似合わない程たわわな胸が現れた。


 ゲニーは首筋から鎖骨へと段々と降りていくキスの嵐を降らす。そして胸の頂きを避けるようにねろりと舌を這わせていった。焦らされ辛くなり、涙目になるアンジュを見てゲニーは微笑む。それでも一向にその一点には触れてはくれない。


「意地わるぅ」

「どうして欲しいの?」

「触って……舐めて欲しいの」

「舐めてるけど?」

「だから、そこじゃなくて」

「どこ?」


 ゲニーはニヤッと意地悪そうに笑う。


「ち、ちく……」


 最後まで言い終わる前にちゅううとゲニーはアンジュの薄桃色のぷっくりといやらしく突起したものに吸い付いた。


「ああん!」


 既に感じやすくなっていたアンジュはそれだけで軽く達してしまう。


 アンジュの右胸を舌で吸い付いて弄り、左胸は指でくねくねとなぶった。顔を上げ、アンジュのとろとろに蕩けた顔を見たゲニーは満足そうに笑うと両手で愛しい人の両胸を持ち上げ左右の頂きを同時に口に含み吸い上げる。


「あああ!!」


 頭が真っ白になり視界がチカチカとして、初めて絶頂の感覚を味わったアンジュは背中を反らせガクガクと体を痙攣させた。


「えっろ。僕しかこんな姿のアンジュを知らないとかやばいな」


 ゲニーは今もなお愛液が溢れ続ける秘所を隠してた頼りない布の左右の紐を解き、アンジュを生まれたままの姿にさせる。そして痙攣がおさまったアンジュの膝を折り、左右に開いた。


「え……パイパン? アンジュ下の毛剃ってるの?」

「違っ、元々体毛は薄いの! ちゃんと生えてるもん」


 微かに生えてる下生えに気付き、ゲニーは優しく触る。そして薄桃色の花弁を指で開くように広げ、顔を近づけた。


「この匂いたまんねぇ。腰にくる」

「何嗅いでるの! 変態!」

「変態じゃねぇし! 普通だ!」


 ゲニーはキリッと真面目な顔で訴える。


「じゃあ、いただきます」


 ゲニーは誰も触れたことのない蜜口に舌を這わせた。ぺちゃぺちゃと止まらず溢れるアンジュの甘い蜜を味わう。


「んっ! ふぅ! あん! んんん!」

「美味しい……。こんな甘いもの舐めたことない」

「ばかぁ。汚いからやめてぇ」

「汚くない。アンジュに汚いところなんて一つもないよ」

「んんん――!!」


 一番敏感な芽をちゅううと吸われ、アンジュはまた達してしまった。


 舌で解され、アンジュの花芯はどろどろに蕩けていき、シーツはアンジュの愛液と汗で水浸しになった様に濡れている。


 アンジュが何度もイカされ浅い息をしていると、ゲニーがガウンと下履きを脱ぎ出した。


 ブルンと凶暴に反り立つ硬い肉棒が現れる。その大きさを見て、アンジュはコレが入るのか不安になる。


「痛かったら言って。ゆっくりするから」


 ゲニーがアンジュの額にキスを落とし、指を絡めた。声色は微かに震えていて、ゲニーの不安感を感じとり、アンジュは同じ気持ちでいることの幸福感で胸が温かくなる。さっきまでの不安がスっと消えていった。


 ゲニーは反り立つ己の欲棒をアンジュのとろとろの果肉に沈めていく。


「はっ、ん……。大丈夫……? 痛くないか?」

「うん。だい、じょぶ。ぜ、んぶ、入った……?」

「ああ、全部入ったよ。やば……気持ちよすぎ。このまま死んじゃうかも」


 死んでもらったら困るが、それ程気持ちいいと言われアンジュは幸せな気持ちになる。丁寧によく解されたせいか、実際痛みは殆どなく寧ろ快感を感じていた。


「気持ちいいから、動いて?」


 上目遣いで目を潤ませながらアンジュは愛しい人にお強請りをする。


「あ〜。一生頭上がらないこと決定かも。僕を骨抜きにした責任取ってね、愛しの奥さん」


 ゲニーはそう言うと唇を重ねた。段々早くなる抽挿は肉と肉とがぶつかり合うなまめかしい音と二人の体液が混じる水音を作り出す。


「ひゃあ! あん! きちゃうう!」

「はっ、だから、イク、でしょ?」

「イクっ! イっちゃうう! はぁん! あああ――――!!」


 何度目かの絶頂を迎え、快楽にずぶずぶと溺れていくアンジュは段々イくのが怖くなった。このまま壊れてしまうのではないかと快楽から以外の涙が溢れてくる。


「怖いのぉ。もうイきたくないよぉ」


 愛しい人に涙目で訴えられ、ゲニーはアンジュの頭を優しく撫でた。額と額を合わせ、懇願する。


「ごめん。あともうちょっとだから……」


 ずるりと己の欲棒を抜けるギリギリまで引き抜き、一気に最奥まで突いた。ぐりぐりと奥を蹂躙し、またギリギリまで引き抜き、貫く。奥を攻められた快感によりアンジュの締め付けが強くなり、ゲニーは最愛の女性ひとの最奥に己の精を放った。


 ゲニーは吐精しぐったりとアンジュに覆い被さり、向きを変え横向きに抱きしめる。アンジュは逞しい胸板に顔をつけ早く打つ鼓動を聞いた。トクントクンと段々とゆっくりになる鼓動を感じ愛おしさでゲニーの顔を見上げると、なんとも言えないはにかんだ表情をしている。


 ああこの表情を知る人は自分しかいないのだとアンジュは普段あまり意識しなかった自分の独占欲を感じた。この人の一番傍にいたい、支えたい、癒してあげたい、ずっと愛し愛されたいと。


 今まで感じたことのない幸福感に包まれ、そのまま二人は朝まで深い眠りについた。

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