ゴロウ繁盛記
芝村想吏
第1話 商店街の危機
俺はゴロウ。しがない靴屋の倅だ。今まで自分の天職を探して色々やってきたが、それももういい加減にして実家を継ぐことにした。今は母親と共に靴屋の店員をやっている。
「ゴロウ!そろそろお昼にしようか。先に食べといで。冷蔵庫に炒飯が入っているからチンして食べて」
「ありがとう母ちゃん。じゃあ先に」
冷蔵庫の炒飯は昨日の残りで料理は上手な母なのだが炒飯もそこそこ美味しい。母の炒飯は肉さえ入れればもっと美味くなりそうだ。今度リクエストしてみようか。
「ふうん。どうしようか」
炒飯を食べるテーブルの上に商店街会議の議事録がある。俺が読む限りではどうも危機が迫っているらしい。昨年からの大型感染症によって人出は減ったが、そろそろ客が戻って来るはずなのに来ていない、または大分減っているという話の様だ。
俺も商店街の一員としてその気持ちがわかる。うちの店も売り上げが落ちたままの低水準だ。俺の立場は従業員ではなく、共同経営者なので給与はもらっていない。お小遣い程度だ。でも店の権利と発言力は共同経営者の方がいいかもしれん。
そして共同経営者として店の危機をひしひしと感じる。どうしたものか。
「何か知恵はないのかね…」
炒飯を食べ終わり、母に声をかけ休憩は終わり。靴屋の倅として今日も働こう。
今日は商店街会議だ。会場の公民館に集まる。
「よう、来たのかゴロウ」
「よ、健一郎」
健一郎は本屋の息子で幼なじみだ。昔から本が好きでこれこそが我が運命!とか言っていたが。こうも客が来なくてはさすがに天職といえども廃業するかもしれない。
「最近どうだよ」
「最近な…それが今回の議題だよなあ」
「まあなあ…どうしたものか」
健一郎とゴロウは二人で空を仰いだ。
「とにかく宜しく頼むわ。お前の知恵がいるかもしれないしな!」
「知恵ねぇ…どこかに相談したが良くないかね」
「そうかもしれんが。それも含めての会議だろうな」
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