10
「宝はあいかわらずあんまりおしゃべりしないんだね」と葉ちゃんは言った。
「ごめんなさい」宝は言った。
「別に謝らなくていいよ。あんまりおしゃべりしない宝も可愛いよ」と葉ちゃんは言った。(宝は顔を真っ赤にした)
「僕に会えなくて寂しかった?」葉ちゃんは言った。
うん。すごく寂しかった。と言う思いを込めて、宝はこくんと顔を動かした。
「さみしい思いをさせてごめん」と葉ちゃんは言った。
「うん」と声に出して宝は言った。
「その代わり、今日はたくさん二人で遊ぼう」とにっこりと笑って葉ちゃんは言った。
「うん」と笑って宝は言った。
宝は葉ちゃんに案内をされて風の街を散歩することにした。風の街は(そこからその名前がついたのかはわからないけれど)ずっと、優しい風が吹いてる土地だった。二人で土色の道を歩いて風の街の駅から歩いた道を歩いているときもずっと風が吹いていた。
強くもなく、弱くもない。暑いこともなく、寒いこともない。ちょうどいい風。(色をつけるなら水色のような風だ)宝は風の街に吹くこの風が大好きになった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます