俺が所属している部活の美少女らと放課後デートすることになった!
譲羽唯月
第1話 突然な告白⁉
「今日って、時間ある?」
「今日ですか?」
平日。
学校終わりの放課後。
五月になったばかりで、窓を開けた状態だと少し寒さを感じる時期だった。
春もそろそろ終わりそうであり、高校二年生の
デートさえも、異性から誘われた経験もなかったくらいなのだ。
そんな幹真が箒を持って文化部の部室にいると、近くで背を向けて佇んでいる部活の先輩から問いかけられた。
今日は何か特別な用事があるわけではなかった。
普段通りに部活をやると想定して部室に来ていたからだ。
「でも、今から部活では?」
幹真は箒で床を掃く行為を一旦やめた。
「そうなんだけど。今日は休みにする予定でいたの」
「急ですね、何か理由があるんですか?」
「そうね。一応あるわ」
本棚の整理整頓をしていた、ロングなヘアスタイルが魅力的な
「他の人は、この事を知ってるんですかね?」
「伝えているわ。今日の昼休みにね」
「じゃあ、その事を知らなかったのは、俺だけだったって事ですか?」
「そうよ。あなたは今日、用事はないのよね?」
「そうですけど。部活を休んでまでやることがあるんですか?」
幹真は逆に聞いてみる。
「そうね。今日は重要な話をするつもりでいたの。だから、部室の掃除が終わったら、すぐに下校する事になるわ」
「重要なことって、学校では言えないこと?」
「場合によってはそうかもね」
どんな内容かと、幹真は身構えてしまう。
「そういえば、他の人はどこに?」
幹真は部室内を見渡す。
「他の二人は、校舎の昇降口付近で待っていると思うわ」
幹真が振り向いた時だった。
依馬先輩が近くまで歩み寄ってきていたのだ。
急な展開にドキッとした。
「ど、どうしたんですか、斎藤先輩?」
「べ、別になんでもないわ。ちょっと、あなたの肩に埃があったから、取ってあげようと思っただけ」
そう言って、先輩は右手で幹真の左肩についている埃を払っていた。
「まあ、掃除が終わったら昇降口に行くから。そのつもりで」
依馬先輩は再び、本棚のところで本の整頓を再開していた。
「昨日の帰りも掃除はしましたよね?」
「そうね。でも、掃除したかったから」
「だったら、他の二人も呼んでくればすぐに終わったかもしれないのに」
「いいの。いいから、早く掃除をしてしまって」
「は、はい……」
幹真は首を傾げてしまう。
心の中では疑問を抱きつつも、無言のまま手短に掃除を終わらせ、部室を後にすることになったのだ。
学校の昇降口に向かうと、そこには二人の部員が待っていた。
「ようやく来たんですね。早く行きますからね」
「今日は重要な話をしたいって、部長が言い出したんですから」
その子らに絵馬先輩は急かされていた。
彼女らは幹真と同じ部員メンバーであり、クラスメイトの
部員全員がその場に集まった。
すでに、この四人で向かう先は決まっているらしい。
幹真は彼女らに導かれるまま、街中に向かうことになったのである。
現在、幹真がいるところは、学校から数分ほど離れたところにある街中だ。
街中といっても繁華街から少し外れた場所であり。彼女らはどの店屋に入店するか事前に決めていたようで、迷うことなく幹真をその喫茶店へ導いていく。
入店後、女性店員から出迎えられ、四人が座れる席へ案内してくれた。
丸テーブル系の席で、幹真が座ると、その両隣には二人の女の子が座る。
正面の席に絵馬先輩が座る事となった。
重要な話というのが、どんな内容か気になる。
女性店員が立ち去った後、数秒の沈黙を破るかのように絵馬先輩の方から話しかけてきたのだ。
「私らはね、普段から考えていることがあって」
「どういう内容をですか?」
今から先輩が話す内容こそが重要な事だと思い、幹真は真剣な顔を見せた。
「あなたの事についてよ」
「お、俺の事に?」
まさかの、幹真は女の子らのネタにされていたらしい。
「そうよ」
「でも、どうして、俺が⁉」
幹真は驚きながらも、三人の子らと向き合い、会話を続けようとする。
その真意をもう少し確かめたかったからだ。
「あなたって、付き合っている子っているの?」
先輩からの質問攻めが始まる。
「い、今はいないですけど」
「じゃあ、誰かと付き合いたいとは思わないの?」
「それは……まあ、付き合いたいとは一応は思ってますけど」
「じゃあ、どうして告白してこなかったの」
「こ、告白⁉ ですか」
彼女らには、意外にも告白してほしいという願望があったらしい。
「私らはね。あなたが誰に告白してくるか、それで悩んでいたの。だから、今日、ここでハッキリとさせようと思って」
依馬先輩による衝撃の発言であった。
「普通さ。女の子と一緒の空間にいたら何かあるものでしょ?」
右隣の席に座っている早紀から、疑問気な顔を浮かべられていた。
「何かって。告白したり、付き合ったりとか。そういうこと?」
「そうよ。そういう事って、幹真の方から一切なかったじゃない」
「そうだけど。やっぱり、告白なんてしたら逆に気まずくなりそうな気がするし」
部活内で、恋愛しようとは考えられない。
そんな事をしてしまい、その告白が失敗に終わったら部活にいられなくなるかもしれないからだ。
「でも、そういうのはハッキリとしてほしいんです!」
セミロングなヘアスタイルが揺れるほど、その場に立ち上がって、後輩からも真剣な瞳を向けられ、バシッと言われてしまう。
三人は告白される事を待ち望んでいたようだ。
「でも、俺でいいのか?」
「私は問題ないですよ」
早紀からは即答された。
「そうなんだ……」
「それで、幹真先輩は付き合うとして誰がいいんですか?」
「そんな事、急に言われても答えられないから」
重要な話っていうのは、この事だったのか。
それがわかり、ホッとした感じになりつつも、判断を煽られていることもあり、逆に緊張感が増してくる感じだ。
この返答の仕方次第で、今後の学校生活が大きく変わってくる。
適当な発言では駄目だと思う。
真摯に向き合った対応の仕方じゃない限り、彼女らも納得しないだろう。
「わかったけど。まさか、そんな事を思われていたって知らなかったし。誰が好きとか、ハッキリとは決めてないから」
「そんな事ってある? 普通はこの子とやりたいから、この子の事が好きとか」
幹真に近づいてきた早紀は、ショートな髪を弄りながら意味深な感じに言ってきた。
「そ、そうかな? いや、でもさ……」
早紀から直接的な言葉で囁かれるように言われ、幹真は男性なのだが、変に感情が高ぶり、逆に緊張し始めてくる。
「そうなの。そういう時期でしょ!」
彼女の発言で、喫茶店内の空気感が若干気まずくなったのは言うまでもない。
「まあ、気を取り直して聞くけど。それで、あなたは、どういうやり方で誰と付き合うか決めたい?」
「お、俺は……」
先輩の問いかけもあり、周りにいる子らの表情を見やる。
「じゃあ、今日三人と遊んで、明日結論を出すって形でもいいか?」
幹真なりの提案の仕方だった。
「まあ、いいわ。それでもね。でも、明日にはハッキリとしてね」
「いつまでも、モヤモヤしたまま過ごしたくないので」
「私も同じ。やっぱり、そこらへん、ハッキリとしてもらわないとね」
依馬先輩、衣織、早紀からの視線を受けながら、念を押される。
幹真は普通に部活のメンバーとして、彼女らと関わっていきたかったのだが、そうもいっていられないようだ。
幹真はどぎまぎしながらも、心の中でゆっくりと決心を固めることにした。
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