飽き性な私と文学的な彼の午後の部活動
。
第1話何もしたくなくなった私と罵声
夏休み明けの昼休み
私、
髪型はごげちゃ色のボブなので草が髪の毛につきまくってサバイバル帰りのようにはならないだろう。
夏の象徴ともとれる深い緑の木々が私を太陽から隠してくれる。緑のカーテンは伊達じゃない。時々吹く風が冷やしたソーダのように気持ちがいい。
ここは県内1位2位を競う普通科と県唯一の美術科がある
その中庭の2つのうちの一つ通称‘裏庭’ココは学校の校舎とスポーツ用のコートの間に作られた、芝生と木々で覆われた通路であり所々に少ないがテーブルとベンチが置かれている。
しかしながら、テーブルとベンチは木々の下に置かれておらず、直射日光。コンクリの上で残暑の熱を帯びている。絶対置く場所間違えただろ、と思う。
最近の気温は高く、いくら夏休み明けといえど、この中で飯を食べる子は少ないこの中で私はベンチには座らず、ちょうど木々で人目のつかない位置寝転んでいる。
「あぁ~、もう何もしたくない、絵も描きたくなーい。」どろどろに溶けた私は人がいないことをいいことにだらだらと愚痴をこぼす。
この半年ずっとそうだった。やっと高校受験が終わり受かったのはいいものだがそこからずっと、デッサン、色彩構成、デッサン色彩構成デッサンデッサンデッサン。
夏休みも全てデッサン色彩構成造形デッサンデッサンデッサン
「ああああ。」頭のなかがおっさんの石膏で埋め尽くされている。
こんな、自由に創作ができて高校生で何を言っておるんだ甘えやがって。という罵倒は何度も自分の中でした。けどもうデッサンも色彩構成も何もしたくない。
もう創作の意欲なんて湧かない。もうだめだ。午後からのデッサンの授業なんてさぼってやる。私は学校を抜け出してやると固く決心した。
それでも、石膏の白い顔をして偉そうに立派な髭とベートーヴェンモドキの髪型をした憎きおっさんがまるで逃走ゲームで100体くらい追ってくかのごとく脳裏に焼き付いて離れない。まるでホラーだ。
私はがばっと起き上がった。
この憎きおっさんたちを消し去るためまた学校から逃げるため私は走り出し半べその怒り声で叫んだ。
「お前なんて大っ嫌いなんだからー!地震でも起きて全員ドミノ倒しになって、頭から、バキバキとおれてしまえー!!」
それと、ほぼ同時に木で見えていなかったベンチに男の子がいるのに気が付くと同時に落ち着いているがまっすぐで張りがある罵声が聞こえた。
『黙んなさいよ、盗み聞きじじい!私の前で偉そうな口を聞くんじゃない!』
ぽつんと一人本をもった少年と私はお互いに向き合いしばし固まった。
彼は、時間がたつにつれ、顔がひきつるとともに顔がどんどん青くなっていく。そりゃあ突然嫌いと叫ばれ、頭からおれろ!!という相手に罵声をかけたのだ。
とてつもなく怖いだろう。私だったら大声でごめんなさいと言って本気のダッシュで逃げ去る。
私も彼がいると知らず恥ずかしいことを叫んだのを聞かれて顔に真っ赤な羞恥心が昇る。彼も何か言っていたので私に怒ってるのかもしれない。とりあえず、私の誤解を解かねば!
私はすーふーと深く深呼吸をして覚悟を決め彼の顔をしっかり見て近づいた。羞恥から唇をかんでいた。
それがダメだったのかもしれない、いや色々とダメだらけだったが。
彼はこの世の最後を知ってしまったかのような顔をした後、私が近づくにつれ後ずさり、ついに走り出した。それはもう、脱兎のごとくだった。いやそんなことで現実逃避してないで追いかけて早く誤解を解かねば。
「待てーーー!! そのままいかせるかーーー!!」私は大きく声をあげながら追いかけたが、彼は何を勘違いしたのか速度を上げ手に持っていた本を落とした。
それを見た私は走りながら拾いあげた。
これがあれば、彼の名前、クラスが分かるし、彼も取り返しに来るだろう、と高を括ったのだ。
彼は本を読んでいるということから勝手にひ弱想像していたが美術科内では運動能力が高い私が追い付けない。見失った時のため特徴を覚えようとした。身長は大体平均値、程よく引き締まっているが顔は大人びたクールさがある。そこまでわかるまで追いかけっこをした。
そして私が「勘違いだから、止まれー!」というまで彼と学校中追いかけっこする羽目になったのだ。
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