マッチングアプリに依存したので誰かリハビリしてください!

市ヶ谷龍太郎

依存

『お前進路どうするん』

そんな事を聞かれたが本当にどうでも良かった。


僕、宮澤龍之介は4月に18才の誕生日を迎えてもう高校3年になる。


本来なら大学行くとか就職するとか面談して進路目標を立て四六時中勉強や職場体験などに身を削りながら友達同士切磋琢磨しているのが普通だ。


みんながそんなことをできるのはおそらく高校2年間は青春に充ててもう後悔がないからだろう。


自分だって青春は思う存分したと思っていた。友達だって沢山作ったし、遊びまくったし、自分なりには後悔していないはずだった。


だが、中学の親友中森春樹に『高校生にもなってしかももうすぐで18の身で恋人1人もできたことないの笑』ってLINEが来てから青春しきれていないことが分かってくる。


このLINEからマッチングアプリを始めて年齢誤魔化して写真撮って載せてなんて作業をやっていたがいいねなんて1つも来ない。

身分証の確認が必要とかどうのこうのっていう通知がくるだけ。学校でも他のアプリの通知が気になって休む暇もない。


そんな毎日を送っていたせいか模試は壊滅的。偏差値38。大学どころか就職でさえアヤユイ状況である。

先生は『どこにも行けないぞ』とか教科書通りの言葉を並べていたが、そんなことは無視していつも適当に帰っていた。


家の中、通学の山手線の中、学校の中、都バスの中。18歳になった僕はほとんどをマッチングアプリ(恋活)につぎ込んだ。


5月10日

生きた心地がしない暑さの中涼しい駅構内の待合室で山手線を待ちながらアプリを開く。


誰からも反応が無いのは分かっていたが開きたくなる気持ちが抑えられずスマホをタップする。


母親からのLINEがたびたび入るが未読スルーして、気になる女の子をフォローする。

だが何も返信なんて来ないので母親のLINEを結局見ることになる。


母『勉強も職場体験にも行かないで昼間っからブラブラして、いいご身分ですね』


龍之介『母さんだって専業主婦で無職でしょ?似たようなもんだよ。因縁つけないで専業主婦と言う名の仕事でもしたら?』


母『誰のおかげで生活できてると思ってるの?あなたがここまで生きていけてるのは誰のおかげ?あなたは一日中スマホいじってご飯食べて寝てるだけでしょう!一緒にされたって困るよ』


龍之介『母さん。俺がやってるのは遊びでもなく、恋愛という大切な青春をしてるんだよ!母さんだって早く孫の顔がみたいでしょ?だから今は集中させて』


母『その孫を育てるのに稼げなくてどうするのよ。勉強とか資格とか取らなきゃ一生稼げないよ』

ここまで言われてしまい母に一括されそうだったので他は全部未読無視した。


『まもなく〜1番線に品川渋谷方面行きが参ります。危ないですから黄色い点字ブロックの内側までお下がりください』


駅構内の放送が流れ乗る電車がやってくる。


頭を切り替えて暇な中学時代の友達中森春樹に連絡をかけてみる。俺に彼女がいないことを指摘したやつだ。(なんかアドバイスでも貰いに行くか〜)と思いつつLINEをする。


龍之介『俺家に居場所なくなった』


春樹『家まで居場所無くすとは可哀想な奴だな笑笑』


龍之介『隣の芝生は青いって言うけど春樹お前は本当に幸せだよな。恋人が出来て』


春樹『俺顔面偏差値高いし、性格いいしお前みたいにマッチングアプリを使わなくたって恋人なぞすぐ作れるのですよ。龍之介君。

乙です笑笑』


龍之介『お前もそこまで言う奴とは思わなかった。それよりもこれから渋谷で待ち合わせでいいよね?今山手線で向かってる』


春樹『おけ。じゃ渋谷駅前でまた会おう』

あとはスタンプなどをお互いに送りあってLINEでの会話をおわらせた。


非常に腹が立っていたので心の中で

(なんで俺だけ恋人が出来ないんだ。

世の中不公平だ。ふざけるなーー!!)って叫んでおいた。本当ならTwitterとかインスタのストーリに春樹のことを晒しあげたい気分だったけどそれはそれで問題なので辞めた。


こんな時もすぐにアプリチェックする。

僕は完全に中毒になってしまったのか!!

時々自分の心配をすることもあるが、そんなことより恋活!という気持ちの方が勝っている。


春樹と会うまで時間があるいい女の子を

もっとフォローしよーっと!!













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