第4話 10、11チャンネル
「仕事は大丈夫なの?」
「そうだな…会社に戻って仕事をするよ」
「近所のスーパーにだけ行ってきても良い?夕飯の買い出しに行ってきます。健二が帰って来たら、すぐに食べられるように準備をして待ってるから…」
「じゃあ、買い物が終わったらすぐに家に戻るんだぞ」と言って健二は書類をカバンに入れているのが見えた。そして、最後に入れたものはテレビのリモコンだった。
ん?今、テレビのリモコンをカバンに入れたような…。間違って入れちゃったのかな?指摘してまた怒られるのは怖いな…。見なかった事にしよう…。
健二が仕事に行ってから、1時間くらい経っただろうか…。さすがにもう会社に着いただろう。スーパーには行って良いんだから、少し寄り道するくらい大丈夫だよね。買い物をしてから、もう一度、交番へ行ってみよう。
スーパーでは、健二が好きなビーフシチューの材料を買った。久しぶりに穏やかな時間だった。スーパーを出て、帰り道に交番がある。誰かに監視されているかもしれないから、落とし物を届けるつもりで行ってみよう…。
交番の近くで、落とし物をひろうふりをした。しゃがんだ時に、家から待ってきたハンカチをすかさずポケットから出した。周りをキョロキョロして交番へ届けるふりをして、交番の扉を開けた。
「すみま…」
扉を開けた先は、家のリビングだった。さっきと違うのは健二が居ない事だった。
健二が居ないなら、もう一度出られるかもしれない!咄嗟に時計を見た。まだ15時だった。
もう一度、同じルートで同じ行動をしてみた。最後に、お願い!リビングに戻らないでと祈る思いで交番の扉を開けた。
ゆっくり目を開けた。
そこは、やっぱりリビングだった…。
―家出 2回目・3回目―
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