-x・埋没

『さぁ!こい!お前ら全員チリにしてやる!!アイツをやる前に俺を

 ぶっ殺してからいけ!命懸けの水泳教室ダァ!!!』


彼には底知れない覚悟が常に体の中で生み出ている。

もう死んでもいいと言う本気の覚悟が彼を狂わせている。

たった一人の友人の勇姿を見届けるために。


『な、なんだあの化け物。船と船員を全部殺しやがった...』


|シャァ!シャァ!|


『そっちが来ないならコッチが行ってヤル!!

 全員オレの胃袋行きだ!終点はあの世だな!!』


しかしその瞬間。


|バン!!|


『...クッソ、西洋人から買った銃でもしなねぇのか...』


サメは腹部に穴が綺麗にできた。


『.....イ、イっテェな...オレの綺麗な腹に穴空けやがって! 

 猿の身分で!!その武器もあれが食べてやるよオ!!』


『ブッシャー!!バキ!!』と海から飛び出して、また殺す。


『はぁ!はぁ!マダァマダァ!!まだ時間がイル!!

 自然を破壊するだけのクソザルが!オレのサンゴ礁まで殺しやがって!』


『バキ!、バキ!』と一人また一人と飛びつきながら殺していく。


『...はぁ!...はぁ!まだ...』もうサメは赤いただの魚類にしか見えなかった。


遠くから走ってくる足音が聞こえてきた。


『はぁ、はぁ、妻と子供も村も私が守る!この化け物め!

 神殺しのサメ!!お前を粉微塵にしてやる!!』


『向かってくるのかぁ!猿カァ”!!仏に”してヤ”る!!』


若い男はサメの目と鼻の先まで怖い物知らずで走る。


『ブシャー!!』と血が炸裂する。


『...さ、さよう、な、ら。』と噛まれながら男は喋る。


『猿がぁ!サメに勝てると思うか!?このバカチンが!!』

『こ、これがねらいだったんだ。かぞくの、ため、に、な...』


『シュー...』と何かが燃えている音が口から聞こえる。


『...こいつ、自爆か!!マズ........バン!!』


男の自爆によってサメは即死した。

村から見える浜辺は綺麗な夕日ではなく血まみれの砂浜だった。

たった10分間の戦闘だった。一人のために稼いだ時間。


エッセはすでに陽気な人格を捨て、サメとして彼は戦った。








 





  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る