2・マーシャルのビキニ

....ああ。

今日も平和な冷たい海だ。

『...夜が明けたか。あの話をビキニのサメに聴いてみるか。』


私は立ち泳ぎ、いつも船内にある女神まで泳ぎ祈る。

『あぁ神よ、なぜあなたはここのおられるのですか?

 なぜ私はあなたを知っているのですか?最初から。』


......まだ海は冷たかった。


『........嘆いてはダメだ。私から疑問について動かなくては』

ザザ!


ビキニまでは長旅だと思い部屋に戻り、銛と少しの貝を持っていった。

『ビキニまでの道のりを道中の魚たち聴いてみるか。

 魚はあの女と比べて正直で助かるな。』


船内から飛び出し、周りを見渡し魚を探す。

しかし周りを見て魚はいなかった。

オオシケだった。


『いないのなら、旧日本軍の建物が近くにある島の周辺に

 行ってみるか...あそこなら魚ならよくいる。』


海から少しを顔を出して、遠くの島の位置を確認する。

『少しここ周辺で荒波が起きるかもしれんな。

 私も少し体を動かしたいのだ。魚たちすまないな。』


ボッコオぉ!!シュー!

海底2500mに向かって一気に潜る。

道中、小さな深海魚の稚魚たちが歓迎してくれている。

『わぁー!魚人様!こ ん に ち は !』

とても愛しい稚魚たちだ。

ちなみに私の水中での速度はバショウカジキの4倍だ。


稚魚たちを抜き、すぐに海底が見えた。

『よし、ここなら助走をつけれる。』

地面に足をつけ地面を蹴る。


ボッコぉぉぉー!ゴー!シューン!!

海底2500mから時速480kmで駆け上がる。

正面から少しずつギラギラした光が見えてきた。


『ひさびさの運動だったな。...一気に飛ぶぞ。』


ゴゴ!バッコーン!

海から飛び出した。


ヒューン!!

海面から700mまで私は飛んだ。

『...心地がいいな、海を比べてくうは私に勇気をくれる。』


そう言い私は、一気に海に向かって降下する。

太陽は私を輝やかせ、私の鱗がギラギラと光る。

体制を整え水面に降下する。


ジャッッッパーン!!ザァー!ポチャ!ポチャ!

『...ふん、なかなか面白い経験だった。』

私も人間と同じように体を動かしたくなる。


島周りにゆっくり泳ぎ、大きな岩の隙間から小さな隙間にいる

魚たちに話を聞いてみる。

『すまない、誰かビキニがどこにあるのかわかる方はいないか?』

どの魚たちも、ぽけーとした顔でわからないですとみな答える。


『困ったものだな...ビキニはどこにあるのだ?』

と考えている最中に目の前を巻き貝のような影が通りすぎた。

私は、近くの岩から剥がれ流された貝だと思い捕まえる。


『大丈夫か?...家はどこの岩だ?』

すると巻き貝から触手が弱った様子で伸びた。

『あぁ、魚人様ですか...お目に掛かれて光栄です。


私は貝殻をじっくりみる。

とても気の弱い巻き貝。

おそらくここの海岸で長い間主だった貝だ。

今は汚れが多いが磨けば綺麗な貝殻になるだろう。

『私の方こそお目に掛かれて光栄です。主様』

巻き貝に敬意を払う。


『なぜ、私が主とわかるのですか?魚人様?』

巻き貝の貝殻の表面を拭く。

『貝の主は、貝殻の見た目で決まる。

 あなたはとても美しい形をしていますよ。

 今少し拭いてみましたが、とてもお綺麗ですよ。』

巻き貝は触手を引っ込める。


『...私はもう死なければいけないのです。歳ではなく自然流れです。

 私は長い間主として生きてきました。いつかは若い奴には劣ります。

 主として、あの岩にくっ付いた時に前の主も岩から剥がれ。

 流れて深海へ行きました。次は私の番。』


そういと巻き貝は

『魚人様、手を離してください。私は深海に行きたいのです。

 巻き貝としての最後の使命です。魚人様。何か聞きたい事があれば...』

私は質問した。

『...ビキニはどこにありますか。』

『あぁ、ビキニですか。ここから夕日が見える方向を

 進むとビキニに辿り着きますよ。』


私は最後の質問をした。

『...なぜあなたは、使命に逆らわないのですか?』

『こどもたちに負の歴史を伝えたくないのです。

 私は他の主と比べて劣っていたのに長くいました。

 今の主は当時の私よりも遥かに上です。

 だから私は.................................................................................』


『主!主!主よ!』


主は、私の手の上で静かに死んだ。


.....まだ、まだ海を冷たかった。


















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