最後のトーチカ

水鐘・哲華

1・生命のラグーン海

1954年 11月23日。


私は半魚人だ。

海に沈んだ船に住んでいる。


最近、陸に興味を持ち私は上陸した。

そこには女がいた。どこかで見たことがある様な姿。

髪をくくり、手には血豆が複数できていた。


その瞬間女は私と目が合った。

『だ、だれよ!あんたは!?』

私の姿に驚いたようだ。


私は女に弁明と質問した。

『危害を与える様な事はしない。突然だが、あなたは誰ですか?』

しかしその女は叫びながら逃げた。

『バケモノー!!』

そう言うと遠くにある集落から逞しそうな男たちの声が聞こえた

『おい!女が化け物に襲われているぞ!!』


私は、命の危険を感じ海に戻った。

外は真っ暗だった為か、追ってては来なかった。


『なぜ私はあの女事が気になるのだろう。』


扉にある小さな窓から1匹のシマイセエビが話かけてきた。

『魚人様?何をそんなに悩んでいるのですか?』

一瞬驚いたが、イセエビに悩みを打ち解けた。

『...と言うわけだ。何か知っているか?イセエビ?』

イセエビは少し悩んで答えた。

『ビキニにいる主のサメに聴いてみてはどうでしょうか?

 彼ならこの土地をよく知っていて何度か人間に

 捕まえられた経験をしている方もいるので地上にも詳しいのでは?』


私は少しばかりの貝殻をイセエビにあげ礼をあげ。

イセエビは、嬉しそうに喜びながら歩いていった。

『やったー。これで家が買える〜!』


悩みの紐が少し緩み、私はほんのり暖かい満月の海で寝た。















  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る