第4話 気づき【ヴィルディ視点】
【ヴィルディ視点】
「……?」
最近、違和感をよく抱く。
モモと婚約を結んでから、違和感を抱くのだ。
「一体……何故だ?」
こういったとき、僕は解決方法をよく熟知している。
そう、これまでの生活を思い返してみるのだ。
「モモと婚約を結んだのは、今から数日前。この頃は違和感を抱いていなかった」
つまり、モモと出会ってから、婚約を結ぶまでは違和感を抱いたことはなかったというわけだ。
「違和感を抱き始めたのは、この数日……正確には、2日前からか」
いったい、どのような点に違和感を抱いたのか。
もう少し、深く思い返してみよう。
「……あれは2日前の正午、モモと食事をしていたときのこと。モモが食事中に、席を外したんだ。そして、帰ってきたモモの口元に、何やら汚物が付いていた……」
当然、それを指摘してしまうとデリカシーに欠ける。
だからこそ、その時は放置したんだけど……。
「もしやあの時、モモは吐いたのではないか?」
しかし、何故。
食事が口に合わなかったのか?
いや、僕はモモの好みを熟知している。
それに一流の料理人を用意したんだ。
口に合わなかったというのは、考えにくい。
「これだけじゃわからないな。もっと、深く考えてみよう」
イスに腰掛け、深く思考する。
「そうだ、あれは昨日のこと。モモがお腹を擦りながら、廊下を歩いている姿を見た」
モモはお腹を擦りながら、イソイソと廊下を歩いていた。
理由はわからないが、吐き気も催していたと思う。
「……まさか」
僕の脳内に、嫌な考えが過ぎる。
そんなことはないと叫びたいけれど、どうしようもなく考えがこだましてしまう。
「……モモのヤツ、”妊娠”しているんじゃないだろうな?」
そんなわけがない。
とも、言い切れない。
これまでのモモの仕草。
そして、その態度。
これらを考えたとき、モモが妊娠しているのではないかという考えが僕の頭を駆け巡った。
妊娠について、僕はあまり詳しくない。
だが、どのようなプロセスを行うことで、妊娠するのかは知っている。
そしてそのプロセスを、僕はまだ行っていない。
つまり────
「モモのヤツ、一体誰と……?」
僕の考えすぎであって欲しいと願う。
だけど、あまりにも証拠が多すぎる。
モモが妊娠しているなんて、そんなことは信じたくない。
だが────疑いが晴れることは、無い。
「……一刻も早く、確かめなくてはならないな」
こういうとき、本人に直接話しても語ってくれないことはよく存じている。
だからこそ、周りから調べる必要があるのだ。
「……モモの周りから、調査に入ろうか」
僕はしたくもない調査を、始めてしまった。
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