第12話 2月11日 1985年の日本公演で見せた4人の輝き

 体力を使い果たした私ですが、チェックアウトしないといけないので、泣く泣くホテルを出ました。


 夜の飛行機なのですが、それまでどうするかというと、やはり足は雪まつり会場に向いてしまいます。おととい現場に来て初めてわかったのですが、雪像前は足元は凍ってツルツル。これではQALメンバーがここに大っぴらに現れ、ファンが押しかけたら大変危険です。


 なので、お忍びですでに来ていたこともあり、もうメンバーはここに来ないとはわかってはいるのですが・・・結局この日も来てしまいました。

 

 13時30分からQAL雪像と同じ四丁目会場で開かれた、北海道(北見市)が舞台のアニメ「道産子ギャルはなまらめんこい」のイベント(主演声優2名が登場)もしっかり観ました。


 昨夜のQAL公演とこのイベントの両方を観た方、他にもいらっしゃるかな?


 それで、この3日間で雪まつり会場には10時間はいたことになりました。雪まつり会場には一生分いたのではないでしょうか。


 QALメンバーはこの日は東京への移動日。なので今日は特段のネタもないので、1985年の来日公演について振り返りたいと思います。


 映画「ボヘミアン・ラプソディ」では、1985年7月のライブエイドの前は、バンドは存続の危機にあったことが描かれています。


 この映画では、史実と異なるエピソードや、史実通りでも時系列が異なるエピソードが描かれています。


 ライブエイドに出るかどうかメンバーで話し合う場面でも「もう何年も演奏していない」というロジャーのセリフがありますが、実際は2か月前に来日公演が開かれています。


 ただ、この映画の素晴らしさは、史実と異なろうと、時系列が異なろうと、エピソードのエッセンスとして、フレディやバンドの置かれた状況が非常に的確に描かれていたところにあると、私は思っています。


 当時、バンドが危機にあったことは確かだと思います。日本公演のあとは中国公演を行い、それでバンドは解散するという噂も流れていました。


 また、日本における爆発的な人気も「ひと段落」した時期でもあります。


 当時私が通っていた大学の生協が出していたミニコミ誌に、「今は落ち目と言われているQUEENのコンサートに行く羽目になり、嫌々武道館に足を運んだ」と書かれていたことは、今でもよく覚えています。


 私が観たのは5月8日の武道館と11日の代々木体育館の2回でした。解散の噂が流れていたので、私は悲壮な気持ちでコンサートに向かいました。


 これが彼らの姿を観る最後なるのかもしれない・・・。大好きなSomebody To Loveのイントロをフレディが弾いたときに、涙がこぼれました。


 ただ、彼らのパフォーマンスはとても素晴らしく、解散の危機にあるバンドとは、到底思えませんでした。


 上記のミニコミ誌の記事も、「ところが、演奏が始まったとたん、そんな気持ちは吹き飛んでしまった。すべてが一流だ」と続けていました。


 日本公演、ライブエイドでQUEENは危機を乗り越え、翌1986年のマジックツアーも大成功に終わり、QUEENはライブバンドとしても頂点を極めました。


 当然私も次の来日を心待ちにしていましたが、残念ながら「これが最後かもしれない」という気持ちは、異なる意味で当たってしまいました。


 それでも、4人揃って日本で見せた最後の輝きは、これからも私たちを照らし続けてくれると思っています。

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