ヤンデレ彼女に監禁されたから冷静に諭してみた件
タカナシ
第1話「もうどこにも行かせない」
ん? ここはどこだ?
俺は見慣れない天井を目にすると、ごくごく普通の感想を抱く。
手には手錠がはめられ、ベッドに寝かされている状況。どうやら監禁ってやつをされているようだ。
冷静に観察していると、
「あれ、みぃ君。もう起きた?」
すごく聞きなれた声が頭上から聞えてくる。
「その声は、レコか?」
病田レコ。俺の彼女だ。
俺のことが好き過ぎるて暴走しがちなところがあるけれど、可愛い彼女だ。
今やトレードマークになっている長い黒髪も俺の趣味に合わせてくれている節があるし、スレンダーな体つきも俺に好かれる為に努力したと言っていた。
「うん。レコだよ。みぃ君の彼女のレコ。でもね。みぃ君。おかしいな。今日ね。みぃ君がわたしの知らない女と一緒に歩いていたの。ねぇ、どういうこと?」
女性と二人で歩いていた?
俺は、正直なところ、レコ一筋で他の女性と一緒にいるなんて、ありえないのだけど……。あっ!
「もしかして、只野友子さんのことか? 彼女は同じゼミ生で、講義の部屋が一緒だからたまたま一緒に歩いていただけだ」
「嘘だっ!! あんなに楽しそうに話していたじゃないっ!! わたしにはあんな笑顔向けてくれたことないのにっ!!」
あんな笑顔って、俺、あのとき、話題に困ってめっちゃ苦笑いだったんだが。そりゃ、レコには向けたことないな。
「あれは苦笑いだ。お前に向けるはずないだろ」
「でも、みぃ君は素敵だから、あんな笑顔向けられたらみぃ君にその気がなくても、あの女が好きになるかも。そうよ。だから、今日からみぃ君はこの部屋から出ちゃダメ」
「この部屋から出られなかったら、大学は?」
「もちろん行かないで!」
「就職は?」
「わたしが養ってあげる」
わたしが養う……?
「いや、ちょっと待とう。大学の金は、すぐに中退すればいいとして、それでも人間ひとりに掛かる金額は一生で2~3億って言われている。教育費が1000万。そこは俺はすでに親が払ってくれているが俺たちの子供にも同じくらい掛かる。
親の介護が500万。住宅費が4000万、結婚費用も200万くらいかかるのが普通だ。
それに生活費もろもろで4500万強。それも一人でだ。
独り身で2億。結婚していたら合計で3億ってとこが妥当だろう。子供をもうけなければ、もっと安く済むかもしれないが」
「えっ……。みぃ君との子供はほしい……」
「そして、女性の生涯年収は約2.2億。そのうち税金で2~3割取られるから、実質1.5億程度だな。他の仕事をかけ持つか、余程良いところに就職しないと女性一人で夫まで養うのは難しいだろう。それでも監禁する?」
レコは目をぐるぐると回し、両手でお金を数える仕種を見せるが、すぐに。
「ごめんなさい……」
カチャリと手錠の鍵が解かれた。
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