機械戦線

月永 鉧

1限 流体律力学 世界は数式でのみできているのか

いや,もう,マジで意味わかんない.

きもい,すべてを数式で示そうとしないでほしい,やめて助けてわかんねええええ.


魔法があふれ,魔法が世界を支配する世界.

魔法を利用して,生きとし生けるモノのつながりを研究する魔法学.

魔法を分析し,世界を構築する法則を学ぶ律工学.

大戦終結から約100年,

種族性別かかわらず求める者には平等に学ぶ機会は与えられるようになった.


今日の一限は流体律力学である.帝都律学大学校に入学して早2年,一限に間に合うための全力ダッシュに慣れ,レポート提出のための徹夜に慣れ,試験を乗り越えるための過去問集めにも慣れたが,数式だけはいまだに慣れない.

律工学のほうが就活に良いといわれて安易に選んだ中等学校の時の自分をぶん殴りたい.なんなのだ,この数式というやつは.


中等では数律学という授業の中でしか使わなかった記号が,大学校ではすべての授業で使われている.(いや,それは私が律工学を選んだからであるが.)工学を学ぶたる者に数式嫌いの居場所はないといわれているように,すべての授業で数字が,なじめないサルシャ文字が,定理が,定義が,私をいじめてくるのだ.


2年それなりに頑張ったおかげか,リアルで想像しやすい力律学は理解できるようになってきた.た,だ!!2年次から始まった流体はあかん!


魔素の流れ,エネルギーの流れを理解し,生活に役立てる,的な意味を持つ流体律力学なのだが,まず問題は魔素は目に見えない,それにエネルギーだって目に見えない.かつ数式で理解しろときた.おいいいいい!!!目に見えないものをどうやって理解しろと?それを数式で??目に見えないんだから適当なこと言ってるんじゃないのかい?先生?そこんとこどうなんすか?

(冗談である.先生様はわたくし如き盆栽の学生には持ちえない頭脳をお持ちでいらっしゃりますとも,ええわたくしが凡才な盆栽的脳みそなんでございます!!!)


とまあこんな感じの流体の授業であるのだが,今日は特にひどかった.先生がもそもそもそもそ,sinだcosだなんだかようわからない文字をいっぱい含んだM-Sの式の導出とかいうものを黒板に書いていた.

もうあきらめた.

理解するのあきらめた.

理解したかったのだが訳が分からないのだ.眺めているうちにだんだんと言葉が意味を失っていくように世界がsinとcosでできているような気がしてくるのである.もしかすると愛や家族なんてものも数式で表せるんじゃ?


おっと,これ以上は妄想になってしまいそうだ.あきらめよう,もう丸暗記である.


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る