3年付き合った彼女に、子供だけ私にちょうだいと言われた俺は?

神石水亞宮類

第1話 3年付き合った彼女に、子供だけ私にちょうだいと言われた俺は?




俺は3年も付き合っていた彼女に突然! こう言われる。

“子供だけ私にちょうだい!”

そりゃ、結婚のタイミングも何度もあったのに俺がそのタイミングを

ことごとく外してきたせいで、俺達の【結婚】が遠のいて行った事は

彼女には本当に申し訳ないと想っているのだが、、、。

まさか!? 彼女がそんな風に思っていたのは正直、ビックリしたんだ!

“籍も入れず結婚式も挙げず、ただ俺との子供がほしい”だと?

じゃあ、俺はどうなるんだ?

俺だって! “彼女と結婚したくないと言ってる訳じゃなんだよ!”

結婚するタイミングが俺には分からないだけなんだ!

俺は彼女を心から愛しているし、彼女といずれは結婚も考えていたのに......。



・・・それなのに、彼女は俺とは違う考えでいた事にショックだった。

しかも彼女は俺にこうも言ったんだ。

“妊娠が分かったら? いつ別れてくれてもいいから。”

俺は彼女にとって、そんなモノなのか?

3年、3年だぞ! 俺は浮気もせず、他の女性に目移りもせず彼女だけを

見てきたというのに。

彼女は俺のDNAを受け継ぐ子供だけがおしいだと?

イカれた女の発想じゃないか!



でも? そんな事も俺は彼女に言えなかった。

ただ俺は彼女の言う通り返事をしただけ。

彼女はもう俺に愛情もないのかな、、、?

今でもいつも通り彼女と同棲もしているし、体も重ねている。

それもこれも彼女にとっては、“子供を作る事だけ”なのかと、、、。



・・・例え彼女の想いがそうであっても、俺は彼女の言う通りにした。



『“奏! 今日の夜いいかな?”』

『あぁ、いいよ。』

『ごめんね、なかなか子供ってできないんだね?』

『・・・そうみたいだな、俺は女じゃないからよく分からないけど、』

『子供がデキたら、もう私と別れてくれていいからね。』

『“理美は本当にそれでいいの?”』

『えぇ!?』

『・・・だって最初から、シングルマザーになるんだよ! それなら俺と、』

『大丈夫! 奏には迷惑かけないから。』

『・・・ううん、』

『奏はさ、どうしたいの?』

『・・・俺は、俺は、』


『もういいよ、頑張って子供作ろうね! それが私と奏の別れの時だよ。』

『・・・あぁ、うん、』




・・・このままでいいのかな?

俺はそればっかり考えるんだ! 彼女をこのままシングルマザーに

していいのか?

俺と結婚したら? 子供と一緒に幸せな家庭を持って、彼女だって

楽に決まっているはずなのに彼女は何故そうしないのか?

“付き合う前から彼女は頑固で、優柔がきかない!”

でもそんな彼女が俺は好きなんだ。

もう一度! ちゃんと俺から彼女に本当に俺が想っている事を話そう。

きっと彼女だって分かってくれるはずだ!

俺はそう信じていた。




『あのさ、理美? 大切な話があるんだ!』

『“私も奏に大切な話があるの! 先に話していい?”』

『・・・あぁ、ううん。』

『デキたの! 子供がデキたのよ! お腹の中で奏と私の赤ちゃんが

居るの! 奏も嬉しいでしょ!』

『あぁ、勿論だよ!』

『なんか? 嬉しそうじゃないみたいだけど、』

『そんな事ないよ、俺だって嬉しいに決まってるじゃないか。』

『あぁ! 奏の大切な話って何だったの?』

『・・・い、いや、何でもないよ! 大したことじゃないから、』

『そうなの? でもさ、きっと奏と私の子供だからかわいいんだろうな~』

『・・・そうだね!』

『“今まで本当にありがとう! これでやっと別れられるね!”』

『・・・そ、その事なんだけど、』

『“私は一度決めた事は変える気がないから!”』

『・・・・・・』

『奏との子供がデキて、私! 今が一番幸せなんだよ。』

『・・・ううん、』

『“今までずっと私の傍に居てくれてありがとう奏!”』

『・・・・・・』

『サヨウナラ。』

『・・・・・・』




俺は涙を堪える事だけで必死だった。

彼女には結局! 何一つ自分の想いを伝える事なく彼女とは別れる事になった。

彼女は一人で、お腹の子を育てていくのだろうな。

俺は出来るだけ! ふたりの幸せの為にお金を渡す事しかできない!

そっとふたりが幸せであるかを遠くから俺は見つめているだけだ。

“それも幸せのカタチの一つなのかもしれない”と俺はそう強引に想う

ようにしたんだ!

全ては、彼女とこれから産まれてくる俺たちの子供の為に、、、。

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