第2話 泥棒猫
この前、職場の廊下で、営業部の女性社員が、私の彼にずっと話していて、上目遣いとかして誘っている。私の彼は、あなたみたいなゲスな女には興味はないって、でも、人の彼に手を出す泥棒猫は許さない。こういう蛾のような害虫は、駆除しないと。
いつも、フリルのついた服とか着て、ミニスカートであんなにもも出しちゃって、下品のレベルを超えているわ。ももだって太いんだから、逆効果でしょ。そうか、パンツを見せたいのね。それぐらいしか武器ないものね。
それに、あの甘ったるい、アニメのような声、喋り方、男性に媚びるのもほどほどにしなさいよ。困っちゃ〜う、教えて〜って、あなたの面倒を見るために男性がいるわけじゃないのよ。周りに迷惑をかけないで。ここは会社なんだから、ちゃんと仕事をしなさい。
でも、どうしてあんな女が世の中にいるんだろう。多分、ああいう女が好きな男性がいて、あんな雰囲気を許しちゃうからだと思う。でも、気持ち悪いでしょう。蛾が飛び回っているなんて。男もしっかりすべきなのよ。ここは会社なんだから、もっと清潔にしなさいって。
でも、そんなこと言っていても、進まないから、今回も、私が駆除してあげる。私は、この世の中を良くするために頑張るって決めたから。
彼女の帰り道とか1ヶ月ぐらい尾行したら、ある男性、あれは社内の男性社員で、彼女の2つ下の後輩だったと思う、その男性とレストランから出てくるのを見つけた。
なんてことなの。あの毒蛾に、若い男性がひっかかってる。男性も、なんか迷惑な顔してるじゃない。これは、パワハラとセクハラね。自分がいないと仕事を出さないわよなんて言って、若い男性を拘束して、自分の性の欲求を満たしているんだと思う。
本当にかわいそうな男性。もう、こんな毒蛾に捕まってしまったのね。蛾の鱗粉が、あなたの将来を奪っているのに、逃げられないのね。
その写真を何枚か撮ってから、さらに尾行していると、二人はラブホに入っていった。もちろん、その動画をスマホで撮ったわ。すぐさま小さなパソコンを開け、そのラブホのエレベーターのマイクに侵入、2人の会話を録音してやった。喋っているのは彼女だけで、大声で上司の悪口とか言っていたわ。
そして、2時間ぐらいしたらラブホから出てきて、後輩の男性にぶちゅーって、外でやることじゃないでしょ。男性の顔にも真っ赤な跡が。欲情に狂ってるとしか見えないわ。人間の皮を被った毒蛾、理性なんてかけらもないのね。
その後、自宅に帰り、動画編集。天誅ね。まず、ラブホに入る動画に、少し時間は違うけど、エレベータの会話をのせ、その後、真っ暗にして、ネットにある他人の喘ぎ声を載せる。
そして、あの女がよだれを流して、あの男性に命令してから、女のグロテスクな部分にクローズアップ。他人のだけど、どうせ、やっているんだろうから、同じよ。
結構、インパクトのある動画ができた。作った私が見ても、フェイクとは思えない。本当に気持ち悪いんだけど、私って天才ね。なんて。
翌日の朝、この動画を営業部全員と、管理職全員に彼女のアドレスから、ご報告って書いて送ってやったわ。清々しい朝からみるもんじゃないけど、営業部では大騒ぎになった。
普通は、自分の送信メールボックスとかみないから、その女は、しばらく、どうして自分がみんなから興味の目で見られているのわからなかったみたい。でも、上司から、ちょっと来いと言われて聞かされ、動画を見たら、震えて、その場でお漏らししちゃったって後で聞いた。
やることだけやっていて、肝っ玉は小さいじゃないの。
彼女はずっとフェイク動画だって否定してたけど、後輩の男性が、先輩女性からパワハラとセクハラで、無理やりホテルに連れ込まれ、エッチを強要されたってゲロった。
やっぱり、思っていたとおりのゲスな女じゃないの。いつものように偽装メールを仕組んであげてもよかったわね。でも、そこまでする必要はなかったわね。まあ、後輩男性を毒蛾から解放してあげたわ。正義の味方って感じ。
後輩は、日頃から彼女の指導を受けていて、誘いを断ったら営業先を紹介してもらえなくなるので断れなかったって。会社側も、彼の言い分を認め、彼女をパワハラとセクハラで処分した。
後輩男性を無理やりホテルに連れ込みエッチを強要した、性欲に狂った女って社内ですごく話題になって、あの女はすぐに会社を辞めた。
そりゃ、そうでしょう。あの女を見たら、あのグロテスクな映像が頭に出てきちゃうもの。そんな風に見られても、平気って外を歩けるなんて人、いないでしょう。少なくとも私は無理。
でも、そんなことゲロちゃう男の選び方も、あなたが悪いのよ。いずれにしても、私の彼に手を出すから、そうなるのよ。
半年ぐらい経った頃、彼と飲みに行って、あの子が、あれだけひどい理由で辞めたので、まだ就職先が見つからないらしいよと話題にした。彼は、あの話ねって、興味なさそうだった。
そうよね。他人のことなんて、いなくなればすぐ忘れるって。そのレベルの女だったということ。でも、彼が蛾の餌食にならなくて良かった。
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