闇夜の護衛

彩霞

セルディア王国の歴史

 ▼……セルディア歴二三六年

 セルディア王国にフェリウス皇太子がお生まれになる。

 国王リヴァルス三世に似て、凛々りりしいお顔立ちだ。よき王になることを願う。

 

 ▼セルディア歴二六一年

 第十一代国王リヴァルス三世が崩御ほうぎょ

 病が原因であると言われているが、果たして本当にそうであったのだろうか。私は納得できない部分がある……。

 同じ年、皇太子フェリウスさまが即位し、第十二代フェリウス二世とおなりになる。


 ▼セルディア歴二六八年

 王家と王家反対派の貴族との間が深くなる。

 王家近辺に危機がせまるるとのことで、セルディア王国の西の国境に住み戦闘民族ともささやかれる「リョダリ」と協定を結ぶ。


 協定締結後、リョダリが近衛兵このえへいとともに王家の護衛を担う。


 はじめは近衛兵がリョダリを受け入れていなかったので、緊張した雰囲気がただよっていたため心配していた。

 しかし彼らだけでは到底守り切れなかった事案が立て続けに起きたため、その後はお互い協力し合って王家を守ることにてっしてくれている。ありがたい。


 ▼セルディア歴二七五年

 王家の護衛にリョダリの族長の娘であるソフィアがく。


 十八歳という若さだが、次期族長ということもあり、状況を俯瞰ふかんして見る才能がある。


 その上、冷静で素早い判断が可能であり、さらには腕っぷしの強さも近衛兵の男以上と来た。背の高さとしなやかさを活かした武器は、王家を守るうえで重要になるだろう。

 ……間違いなく、うちの息子よりもたくましい。


 ▼セルディア歴二七七年

 フェリウス二世よりかねて気にされていた、裏社会で暗躍あんやくする「オウルス・クロウ」の件について相談される。

 人身売買も行っているとのことで、黙っているわけにはいかないだろう。


 危険は承知であるが、この国の未来のためである。

 まずは、戦える「こま」を集めねばなるまい。さて、誰を集めよう。これは骨の折れる仕事になりそうだ。


(ヒューゴ・グロリア侯爵の日記より抜粋ばっすい)

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る