第6話 訪問者

「長井ラクト?ああ、転校生ね」


三日後、学校であみに聞いてみた。

何故三日後かだって?

不審者がいると思われるってことで自宅待機になっていたからだ。


何にもない事で学校は通常通りに戻ったわけだ。

俺も魔法使えないかな。

何かあった時防御したりできそうだし。


「そうねぇ。誰とも話しないみたいだし。友達作らないのかしら・・あ、それは裕也と一緒ね」


玲奈が話に加わった。


「今日は休みみたいだね。たまに休むみたいで・・体弱いのかな?」


「へえ~そうなんだ。二人ともありがとう」


俺は席に戻った。

あみと玲奈は喋っているみたいだった。

いつも仲いいなあの二人。

友達か。

まあ、長井とは仲良くなれそうな気がしないが。

敵っぽいし。

戦う訳じゃないけど。



****



私は、ユウヤの家のリビングでぼーっと過ごしていた。


数日前、家で薬草の調合をしていて部屋の中を歩いていたら床に置いてあるものにつまずいてしまった。

壊滅的に片付けが出来ない私。

床にはゴミが転がっている。


また人を雇わないとかな。

前に雇った人は良くやってくれたのだが、私が変なことをしたせいで契約を打ち切られてしまった。

何て考えていると、家にいたはずなのに景色がガラッと変わった。


いつの間にか屋外にいた。

高い建物があって人が大勢行き来している。


「ここは?」


私は思わず呟いた。

近くにいた若い男性が、私の姿を見て立ち止まる。


「凄いなぁ~。こんなにキレイなエルフ初めて見たよ」


彼の第一声だった。

それから私はユウヤの家に厄介になる事になる。

ユウヤは異世界から移動したのではないかと言っていた。

通常なら信じられない事だけど、私はそういう事もあると知っていた。


以前雇った人が、自分自身が異世界に転移してきたと言っていたのだ。

その人とユウヤは、髪の色も目の色も同じなのでそういう人種なのかもしれない。

唯一違ったところは、ユウヤは弱そうに見えるところだ。


「ユウヤに会って運が良かったのかも」


こちらから頼み込んだとはいえ、悪人だったら今生きているかなんて保証できない。


「これからどうしたらいいのかな」


ピンポーン


玄関のベルが鳴った。


「この音は・・誰か来たって事かな?」


私は疑いもせずにドアノブに手をかけた。

そこには、笑顔の長井ラクトが立っていた。


「君と話がしたいな」


体に何か違和感を感じた。

何か魔法を使われているみたいだ。

私は自分の状態を確認する。


『ステータス』


心の中で呟く。

どうやら魅了魔法チャームをかけられているみたいだ。

私に魅了魔法チャームは効かない。

私は長井をキッと睨みつけた。

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