第133話 一向にかまわないぞ
「…………俺の意志は?」
「間違いなく断るだろうなと思ったから、断れない段階まで裏で動いて来たのだ。今更嫌だと言ったところで既に両家は婚約の為に動いており、他方面にその事を伝えているのだ。今更嫌だと言っても婚約する事は避けられない所まできておる。そして、だからこそ私は未来の旦那様(確定事項)にこの事を伝えたのではないか。逃げられる段階で作戦をばらす程私はお人好しでもなければバカでもないからな。敢えて私の旦那様となるルーカス様に落ち度があるのだとしたら『貴族としての危機管理能力があまりにも低すぎる』という事であるな。もし貴族としての危機管理能力が高いのであれば私が裏でこそこそ動いていた事にも気付けていただろう……。恐らくこれに関してはルーカス様が物理的に強すぎるが故に大抵の問題は武力で解決できるからこそだとは思うのだが、だからこそ私はそこを攻めさせてもらったのだっ!!」
そしてフィリアは、まるで自慢するかの如く俺に長文を話して来るではないか。
まぁ、確かに自分が考えた作戦が奇麗に決まった結果になったのだから誰かに自慢したいという気持ちも、そして自慢できる相手が俺くらいしかいないというのも理解できるのだが、聞かされる方の事も少しは考慮していただけないだろうか? と思ってしまう。
「なるほど……。まぁ最悪結婚するのも良いだろうが、俺は奴隷以外は絶対に信用しない。奴隷でない以上俺との信頼関係は得られないという事を覚悟できているのであれば、俺もお前の覚悟を受け入れよう」
しかしながら俺もいずれどこかで婚約して、結婚をしなければならないという事は覚悟をしていたのだが『どうやって貴族を奴隷にして婚約、結婚までしようか』と悩んでいたくらいである。
奴隷にできないまでも世間にたいしてカモフラージュできるという点であれば婚約するのはやぶさかではないのかもしれない──と考える事によって俺は何とかこの現状を受け入れようとする。
それだけ婚約というのは勿論、この脳筋に出し抜かれたという事実を受け入れる事が受け入れられない程の精神的なダメージを負ってしまっている訳で……。
脳筋と言えども、腐っても貴族という事か……。
恐らく両親に相談してこの作戦の補助もしてくれていたのだろう。
向こうの貴族からすれば最後のチャンスかもしれないのだから本気になるのも理解できるし、その本気度も伝わってくる……。
「旦那様がそういう性癖であるのであれば、私は奴隷になるのも一向にかまわないぞっ!!」
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