第131話 そうだ、婚約しようっ!!
そしてこういう場合の嫌な予感というのは、残念なことに大抵当たるものである。
であるのならば、もう少し早くその嫌な予感というのを察知できるようにして欲しいものなのだが、基本的に嫌な予感というものは回避できない時に察知してしまうものだ。
そして、目の前のフィリアは何故か頬を染めて嬉しそうに俺の事を見つめてくる時点でもう絶対にヤバい事になってそうとしか思えず、しかしながら何が起きているのか確認する度胸も無く馬車の扉が開いた状態で立ち止まっていると、何事かと野次馬が集まってくるではないか。
「何でお前が俺の乗っている馬車を待っていたんだ? 俺のメイドでもなければ奴隷でもないお前が俺をこうしてわざわざ登校してくるのを待つ必要は無いだろう?」
野次馬たちに対して『来るなっ!!』と叫びたいのを必死に我慢しつつ、俺はなんとか馬車から降りると、勇気を出して『何で俺をまっていたのか』を質問する。
「それは、ルーカス様と私が婚約関係となった事を一秒でも早く伝えたいと思ってなっ!! 実はその話が今朝ルーカス様のお義理父様から返信の手紙が届いていたのだっ!! そしてその手紙には私とルーカス様、んんっ、旦那様との婚約を認めるという内容であったのだっ!!」
「こ、婚約だと……っ!?」
「あぁっ!! 婚約だなっ!」
「俺とお前が……? 何故……?」
「その理由は、ルーカス様の弟子になれない、奴隷にすらも以前に直接直談判したにも関わらず断られてなれないとなった私は考えたのだ……。当初こそは周囲から攻めて奴隷にする事を断れないようしようと思っていたのだ……」
「…………それで? それが何故俺との婚約へと飛躍するんだ? あとお前を弟子やら奴隷やらにするのは何があろうと断る」
いや、ちょっとまて。色々とツッコミたい所はあるのだが何故当初の目的である弟子から、奴隷になる事へ目的がかわっているのかこの俺でも分かるように説明をして欲しいと思ってしまう。
しかしならそれを追求したらしたでかなり長く説明して来そうなのでここはグッと堪えて色々ツッコミたい事を我慢して先を促す。
「そう、例え周囲を説得して逃げ場を無くしたところで旦那様は間違いなく断って来そうだと思った私は『そうだ、婚約しようっ!!』と思い、即座に自分の親へ好きな人ができた事を報告した後旦那様のお義理父様へ婚約を結んでもらうように手紙を送っていたのだっ!! 返事は意外と早く、その日に到着したので開けてみると『君のような家柄も人柄も良く、見た目も美しいあのフィリア・オブ・エノーなら何の問題も無いだろう。むしろ息子の為にもこちらから婚約をお願いしたいくらいだ。いったん仮契約をさせていただき、後日新ためて正式に婚約をしよう』という返事が書いていたのだっ!!」
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