第75話 ルドルフというオモチャ


 そしてルドルフは俺の生み出し衝撃波を防ぐことができず、全て喰らってしまうではいか。


 そんなルドルフ見て俺はためいきを吐く。


 いくらこの世界の魔術技術が遅れていたとしてもだ、こんな児戯に等しい攻撃すら防ぐことができないとはこの世界の魔術師は技術も遅れていれば頭の回転すら遅れているのかと、ため息の一つも出よう。


 まぁ、でもただ単にルドルフの頭の回転が悪過ぎるという可能性もあり、この世界の魔術師の中には、先ほどの攻撃を喰らった瞬間に何かしらの対策をしてくるような強者も中にはいるのかも知れないのだが、それでもこの世界ではそこそこの強さを持っているる者は、この帝国では片手の指で足りる位の者しかいないだろう。


 そして俺はルドルフへの攻撃をやめ、歩いて近づいて行く。


「どうした? ルドルフ。さっきまでの威勢が無くなってしまっているんだが……まだやるか? それとも俺に土下座して謝罪した上で、しっかりと俺に行って来た数々の侮辱行為による罪を償う事を受け入れる事にしたのか?」

「ぐ……だ、誰がそんな事を認めるかボケがっ!! むしろノコノコと間抜け面して俺の近くまでやって来た時点でお前の負けなんだよっ!! そもそもそうやって他人を見下してるから自分の本当の実力が分からず、本来の実力以上の態度と行動を取ってしまうからこうやって足元を救われるんだよっ!!バカがよぉっ!!」


 そして、衝撃波を喰らわしてもルドルフというオモチャが鳴らなくなったのでそろそろコイツのプライドも粉々に粉砕する事ができたかな? と思い、攻撃をやめて近づいて確認を取ってみるのだが、ルドルフはそんな俺に対して罠を仕掛けていたようで、形勢を一気に逆転できたと勘違いしてまたうるさくオモチャが鳴り始めるではないか。


 あのルドルフがここまで調子に乗れるほどのトラップ又は起死回生の一撃を持っているのであれば、それはそれでどんな魔術であるか見てみたいという好奇心の方が勝ってしまうので、あえて攻撃をせずにルドルフが魔術を行使するのを待つ事にする。


 すると、次の瞬間俺が立っている場所の周囲にある土が覆い被さるように盛り上がり、そしてそのまま俺を土で閉じ込めるではないか。


 確かに、これだけの量の土を扱えるのはルドルフといえどもそう何度も扱える魔術では無い、まさに一撃必殺の魔術、それこそこの魔術を防がれたり倒し切れなけれなかった場合などと一切想定していない魔術であり、この魔術で決める事ができなければ負けという魔術であったのだろう。



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