第58話 理解してくれるだけまだマシ
そもそもリリアナがゴールド家だとバレたらそれはそれで俺にも面倒くさい事になりそうというのもあるのだが、俺の奴隷を見下して、俺の奴隷にストレスを与えてしまいポテンシャルが下がったりしたらどうしてくれるのだろうか? どう責任を取ってくれるというのか?
それでも注意したら表面だけかもしれないけれども理解してくれるだけまだマシだなとは思う。
世の中には、特に貴族連中達には自分の非を指摘されても認めない者も多く、権力で握りつぶそうしてくるのが大半であり、それは平民であろうとも職場では立場が上だからだとか、年上だからだとかいう関係ない物で自分の非を無かった事にする者が大半である。
そんな中ちゃんと非を認めてくれたのだからここは俺もこれ以上は必要に彼女を詰めるのは違うだろう。
まぁ、俺の方が爵位が上だから素直に従ったというのが実際の所なのだろうが、蝶よ花よと我が儘三昧で育てられた貴族令嬢でそれができる者もまた少ないのだから、何だかんだ言っても彼女まだマシな方なのだろう。
そして、これ切っ掛けで俺の奴隷の取り扱いを広めてくれれば良いのだが……。
「おい、そこのお前。顔が良いからって調子に乗ってんじゃねぇぞっ!?」
「…………あ? 俺に言ってんのか?」
そんな時、俺に向かって舐めた口を聞いてくる奴がいるではないか。
そもそも俺が貴族、それも公爵家という事もありそんな口調で話しかけられること自体が珍しく、俺に向かって話しかけていると理解するのに数秒はかかってしまう。
「お前意外に誰がいるんだよ? 考える脳も無いのか? お前は」
うーん、どうしようか? ここでぶん殴っても良いとは思うのだが、殴った後の事を考えると素直にスルーした方が正解のような気もする。
「うーん、そうだな……お前はそうやって俺を挑発して自分の土俵まで俺が降りてくれない存在であると、挑発しないと相手にしてくれない程自分が下の立場であると理解しているのは良いが、時と場合、そして場所を考えたらどうだ? 俺に話したい事があれば普通に話せば聞いてやる。喧嘩がしたいのであれば雑魚の相手をする時間がもったいないから他の奴に当たってくれ」
「き、貴様──」
「あぁ、そうやって突っかかってくるのは良いが、まずは突っかかってくる理由を教えてくれないか? でないと俺が何でお前に挑発されているのか理解できないまま相手をしなければならなくなってしまうだろう?」
とりあえず、話は聞くが喧嘩がしたいのであれば他所を当たってくれというと相手は激昂して何か話そうとしてくるので、一旦止めて俺に突っかかってくる理由を説明するように言う。
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