第56話 氷の女帝フィリア・オブ・エノー
ぶっちゃけた話目立ちたくないので周りと同じ制服で良かったのだが、過去にその事で『下々と同じ制服などあり得ないっ!!』というクレームがかなりあったようで制服が変更されたようである。
要らない事をしやがってと、過去にクレームを入れた奴をぶん殴りたい気分である──
「はぁ、何で制服がこのクラスだけ違うんだよ……」
「それは当たり前でしょう。ご主人様の制服が他の下々の生徒たちと同じだったらと思うだけで怒りが込み上げて来るわね。そう考えるとこの学園は分かっているわ」
「まちがいないですわ。もしルーカス様が下々の者達と同じ制服でしたらわたくし理事長へ直々にクレームを良いに行っていたところですわ……っ」
──とは思ったのだが、むしろ制服を変更してくれて良かったと、サシャとリリアナの反応を見て感謝をする。
この二人が暴走するのを想像するだけで胃がキリキリしてきた。
それと比べれば制服が違う事くらい全然マシであると言えるだろう。
「おい見ろよ……っ!! 氷の女帝フィリア・オブ・エノー様だぞ……っ!!」
「やはり、ため息が出る程美しいな……っ。あんな女を嫁にできたら……っ」
「やめておけ。フィリア様は噂だと自分より弱い男にはめちゃくちゃ当たりがキツイらしいぞ? お前レベルだと毎日しごかれる未来しか見えん……まぁ、それは俺もだけど……」
「それを言うとフィリア様を娶れる事ができる男なんていないだろ……」
そんな事を考えていると周囲の声が少しだけ騒がしくなってくるではないか。
周囲の声を聴いていると、どうやら有名な女性とがこのクラスへと入って来たようである。
その話題になっている女性へ視線を向けると、まるで氷のように美しく輝く腰まである青髪をポニーテールにして纏め、制服を他の女生徒のように気崩す事も無くピシッと着こなしている彼女は女騎士という言葉がしっくりくる姿で、まさに絵になっている。
そんな彼女を見て確かに噂になるのも頷ける程の美貌を持っているのも頷けるのだが。しかしながら今の俺からすれば興味が無いので、周囲の声に集中して聞き取る事をやめる。
「ご主人様はああいう女性がお好きなのですか?」
「あ、それはわたくしもきになりますわっ」
「美人だとは思ったのだが、興味はないな。俺にはお前たちがいるし」
「も、もう……っ。ご主人様ったらっ」
「お、お世辞でも嬉し過ぎてどうにかなってしまいそうですわっ」
奴隷にしか興味ないので奴隷である二人がいるから十分だといったつもりなのだが、どうやら別の意味で伝わってしまったようである。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます