悪で悪を潰す組織を作ったが仲間に裏切られて死んだ俺は、今世の仲間は奴隷にする事に決めました。~前世で使っていたストレージが使えたので前世の科学技術で作られた武器で奴隷無双~
Crosis@デレバレ三巻発売中
第1話 なにが世界平和だ
火薬の焼ける匂い、高濃度の魔力が空気に充満していることによる立ち眩み、そして胸に刺さったナイフとそこから広がる赤い染み。
「…………そうか、お前もか」
「すまない。だがこの世界の平和の為にはお前が邪魔だったんだ。その為ならば俺は悪魔にでも魂を売る」
そう言いながら俺の胸にナイフを刺しているこの男性は、自分の親よりも信頼していた男性であった。
既に過去形である事が、俺の間抜けさを物語っている。
あぁ、ナイフを刺された胸が熱い。
恐らくこのナイフは俺の心臓まで届いているのだろう。
俺の身体から魔力が抜け落ちているのが自分でも分かる程だから間違いない。
「すっかり騙されたよ。いったい、いつからだ?」
「いや、騙してなどいない。俺は今でもお前の事を信じているし、親友だとも思っている」
そう言いながら泣くかつての親友。
言動と行動が矛盾しているだろう、と言いたい所なのだが、矛盾するのが人間である以上、彼の言動も行動も、彼の中ではきっと本当の事であり、筋が通っているのだろう。彼の中では。
二人で世界平和の為に組織を設立して早二十年。
数々の死線を一緒に潜り抜け、科学の闇と魔術の闇を暴き、確固たる実績と戦友とも呼んで差支え無いほどの経験を得てきた。
なにが世界平和だ。
くそくらえ。
どれだけ組織が大きくなろうとも、どれだけ功績を残そうとも、どれだけ仲間を増やそうとも、命を預けられると思っていた男性に殺されたのならば……俺が人生をかけて必死になってやって来た事はなんだったんだろうかと空しくなってくる。
「そうか…………。そんなお前に良い事を教えてやろう」
「……親友の最後の言葉だ。聞いてあげるさ」
「お前に俺を殺すに足るという情報を渡して来た男性、アイツは世界平和など望んでいない。望んでいるのは権力を集中させて世界を支配する事であり、その結果平和のような監視社会を作る事が目的だ。要はこの世界の人類を全員奴隷にする事が目的であり、その為ならば簡単に人を殺すだろう」
「な……何を言っているんだ……お前は……っ。 そんな事、嘘に決まっているっ!!」
「今目の前で目的の為に簡単に俺の命を奪っている者が、何を言っているんだ? 何で嘘だと思うんだ? 今お前が目的の為にやっている行動は何だ? その結果何人の仲間が犠牲になった? 今現在も外から銃声音が聞こえて来たり魔術が行使されている魔力の流れを感じ取る事ができるが、その度に人の命が奪われているというのに……寝言を言ってんじゃねぇぞ?」
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