第77話 反撃
すべての種明かしは済んだ。形勢逆転とはこのことだろう。今度は俺がキノコ怪人を追い詰めることになった。
「これで俺の力は元に戻った、さあ、どうする! キノコ怪人!」
「うぬぬぬ・・・。こうなったら生きてダンジョンから帰さぬ! 者ども! 行け!」
分身体が俺たちに向かってきた。勇者ノブヒコが剣を抜きながら、パーティーのメンバーに指示を与えた。
「ミキとアリシアはとらわれた人たちを牢から出して外に脱出するんだ。俺とラインマスクとペロでここは引き受ける。」
「わかったわ!」
ミキとアリシアは牢に向かった。そうはさせじと分身体が向かって行くが、俺たちがその前に立ちふさがった。その間に彼女たちが牢を破壊して中にとらえられていた人々を外に出した。
「さあ、こっちよ!」
2人はその人たち連れて階段を上がって行った。彼らは体内を侵食したカビが浄化されたばかりでまだ弱っていたが、生きて帰りたいの一心で必死に歩いた。出口までは距離があるが、多分、大丈夫だろう。
俺と勇者ノブヒコとペロは分身体と戦いを繰り広げていた。さっきは1対8だったが、今は3対7、しかも俺はMP《マジックポイント》に気にせずに戦える。
勇者ノブヒコが剣で分身体を斬り捨てていき、ペロがグレートウルフになって分身体をかみ殺していく。そして俺は「ラインパンチ!」「ストレートラインキック!」を次々に決めていく。俺たちの息の合った攻撃で分身体はすべて倒されていった。
「残るはお前だけだ!」
「おのれ! このままダンジョンからは出さぬ!」
キノコ怪人本体は戦いもせずにそう言い捨てた。そしてくるりと後ろを向いて走っていった。すると壁の一部がパッと開き、奴はそこに逃げ込んだ。俺たちもそこに飛び込もうとしたが、壁はまた元通りになった。
「待て!」
俺は閉じた壁を何度も叩いたがびくともしなかった。するとまたあの声がダンジョンに響いた。
「自爆スイッチを押した。ここは爆発する。お前たちはダンジョンの中で生き埋めになるのだ!」
基地を爆破してその巻き添えでヒーローを倒そうというのは悪の組織の定番だ。しかしこれほどのダンジョンをぶっ潰すとは、ジョーカーはもったいなく思わないのか・・・そんなことはどうでもいい。
キノコ怪人本体はダンジョンの裏口(?)から逃げ去ったようだ。俺たちも生き埋めにならないように脱出しなければならない。だがまたダンジョンの迷路を1階まで逃げていたら爆発に巻き込まれる。何とかしなければ・・・。
そう思っているうちに、「ドカーン!」と音がして天井が崩れてきた。土砂が頭から降り注ぎ、土煙が辺りを舞っている。爆発はあちこちでまだまだ続いている。このままではダンジョンは崩壊して、俺たちは地下にとじ込められて生き埋めにされてしまうだろう。
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