第2話 ラインマスク参上!

 気が付くと俺は荒野の真ん中に立っていた。見渡す限り何もない。だが何だか見たことがあるような・・・。


「ここはどこだ? あっ! もしかして・・・」


 急に俺は思い出した。ここは大岩高原だ。正面向こうに見える山に見覚えがある。ここで決戦が行われた場所だと・・・。

 すると目の前に多くの人影が姿を現した。まがまがしい雰囲気をもつ軍服を着た男に、恐ろしげな爬虫類の顔に首に毒蛇を巻き付けた怪人、そしてその背後には真っ黒な姿をした多くの戦闘員・・・そうだ、彼らは世界征服を企むゲルト団だ!


「J将軍! 今日こそ決着をつけてやる!」

「ふふふ。それはこっちのセリフだ。相川良!」


 俺は相川良になっていた。彼は優れた頭脳とずば抜けた運動神経を持つ青年だ。J将軍の指示で襲ってくる戦闘員を次々に倒していく。


「おのれ! 相川良め! ガラガラリザードよ。行け!」


 すると怪人が俺に襲い掛かって来た。さすがに改造手術で強化された怪人だ。俺のパンチやキックが効かない。それどころか、奴のパンチをもらって吹っ飛ばされてしまった。


「そうだ! ガラガラリザード! 奴を叩きのめせ!」


 J将軍が叫ぶ。怪人はゆっくり向かってきた。こうなれば俺の真の力を見せてやるだけだ。


「トォーッ!」


 俺はジャンプして大きな岩の上に着地した。ここなら邪魔されない。俺はおもむろに構えを取った。


「ラインマスク! 変身! トォーッ!」


 俺はまた飛び上がった。そして上空で俺はラインマスクに変身して地上に着地した。


「貴様!」

「天が知る。地が知る。人が知る。俺は正義の仮面、ラインマスク参上!」


 俺は高らかに叫んだ。血湧き肉躍るという気分だ。俺は変身ポーズも決めセリフも完コピできるのだ。


「ええい! 何をしている! ガラガラリザード! 奴を抹殺するのだ!」


 J将軍がまたしても叫ぶ。怪人が両手を上げて襲ってくる。だがラインマスクに変身したらこっちのものだ。今までとパワーが段違いだ。パンチやキックですぐに怪人を追い詰める。


「グワッ!」


 怪人は奇声を上げて首に巻いた毒蛇から毒を吐き出した。だが俺はあわててそれを避ける。するといい気になって怪人が何度も毒を浴びせてくる。しつこい奴だ。俺は隙を見て奴の首にパンチを食らわせた。


「グワワワッ!」


 怪人の首に巻いていた毒蛇の頭がつぶれた。それで奴は苦しそうに首を押さえていた。


「今だ!」


 俺は大きくジャンプして空中で一回転した。ラインマスクの必殺技と言えばこれだ!


「ラインキック!!」


 それは怪人をとらえて吹っ飛ばした。俺が着地すると同時に怪人は爆発して四散した。敵のJ将軍は怪人が破れたのを見て悔しそうに地団太踏んでいた。


「おのれ! ラインマスクめ! このままにはすまさん! 覚えているがいい!」


 その言葉を残して姿を消した。それを見て俺は言い放った。


「正義は勝つ!」


 何という心地よさだ。俺はしばらくそのまま余韻に浸っていた。

 だがその時、地の底から響いてくるような低い声が聞こえてきた。


「目を覚ませ!」


 その声は確か、ゲルト団の首領の声。もしかして・・・

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る