17. レインの誘惑・炎夏の懇願(♡♡)



プレイ内容:ブラ嗅ぎ、浮気誘惑、優越感煽り


今回からハーレムエロに突入。

サブタイトルのハートの数でプレイの人数を表します。













 私は、必死に自分の胸をいじっていた。


「……っ♡ ふんっ♡ くぅ……♡」


 魔女の悪夢から目覚めて、時刻は早朝5時。締めたカーテンからかすかに光が漏れている。鳥たちの声と、時計の針の音が、一日の始まりを穏やかに伝えている中で、性欲にとらわれた女の姿がある。

 三度に渡る『乳揉ちちもみ技巧スキル』発動による反動は凄まじかった。眠りから意識が覚醒するなり、強烈な発情が襲って来たのである。私だって朝っぱらからこんなことをしたくないが、それでも我慢できないほどおっぱいの疼きが激しいのだ。

 

「……でも…………♡ ――律季くんの手じゃないと、満足できないよぉ……♡」

 

 副作用の発情効果は律季くんの手でないと解消できないが、そもそも、自分でおっぱいを揉んでも全然気持ち良くないのだ。

 律季くんにセクハラされている時は、イきたくないのに無理くりイかされるぐらい気持ちいい。それこそ「喘がされてたまるかっ!」と気合を入れて臨んでも、始まって30秒もしない間に身も心もとろかされて、とんでもないところまで連れて行かれてしまう。

 乳腺をこねて、乳首をくるくるなぞって、つねる。……ああ、やはりダメだ。いちおう律季くんがやっている動きを真似ているはずなのに、なぜこんなに刺激がないのだろう。

 ――大きくて暖かくて、少しごつごつした、あの男の子っぽい指の感触が欲しくてたまらない。体が寂しがっていた。

 

(だ、ダメだ……発情が強すぎて、変な事考えちゃってる……!)


 これでは律季くんの思うつぼだ。発情が長引けば、それだけで考えが悪い方に傾いてしまう。

 せめて溜まり切った欲求不満だけは解消しようと、私は股間に手を伸ばした。片手はブラを外した胸をいじり続け、片手は湿ったショーツの中に。――くちゅっ……♡ という水音とともに、鋭い快感が走った。

 「ぱく……っ♡」右胸を大きく持ち上げ、先っぽを自らの口に含んで、乳首を責めながら嬌声を抑える。おっぱいが大きすぎるせいで、余裕でくわえられるのだ。発情によってすっかり固くなった先端を、湿った感触が舐っていく。


「ふ~ふ~……♡ ……ちゅぅっ♡ む~~っ……♡」


 律季くんによって開発された私の体は、快楽を覚えるたび、ひもづけで彼の顔を想起させてしまう。でも、やっぱり律季くんにしゃぶられるのとは全然違った。めちゃくちゃペロペロしているのに全然刺激がやってこない。おっぱいに不満が募るばかりで、下を責める手の動きがどんどん焦っていく。

 ――ああ、いかんいかん。私は無だ、私は無だ……。律季くんのこと思い出しながら気持ちよくなったりしたら、絶対にダメだ。私がこんなことになっているのも、もとはといえば全部彼のせいなんだ。


(……そうだ、全部律季くんのせいだよっ♡ もう絶対許してあげないっ♡ 何回イヤだって言っても好き勝手おっぱい揉んで、付き合え付き合えって無理やり頼み込んで……♡ 人の迷惑なんて知ったこっちゃないんだから♡ ばーかばーかぁ♡)


 知らず知らずのうちに、律季くんの様々な顔を思い出していた。それだけで全身が熱くなる。

 いま触っている中で、上の部分は律季くんによって開発された性感帯で、下の部分は彼にも触られたことがない場所だ。もし仮に律季くんが私を彼女にしたら、真っ先に「ここ」に手を出すに違いない。おっぱいやおしりをあれだけ好き勝手しても、まだ飽き足らず――ついにはその凶暴な性欲にまかせて、女の子にとって最後の聖域までも征服する気なのだ。

 いやらしい。変態。最低。先輩をなんだと思っているのだろうか。


(でもそうはさせないんだからっ♡♡ 私は君の彼女になんてならないっ♡♡ 手籠めにされたりしないっ♡♡ 絶対、好きにならないからぁ♡♡ あっあっ、イくイくイくぅっ……♡♡)


「――んぅぅ~~~~~~っ♡♡」(びぐんっ……!♡)


 ――ベッドの中で身をかがめて、私は達した。

 いつもなら間髪入れずに次なるセクハラを繰り出されるところだ。だが、ここに律季くんはいない。自分のペースでやっているはずなのに、カラダは不満を訴えかけてやまなかった。快楽中枢が律季くんから獣欲をぶつけられることに慣れ、義務的な自慰では納得できないのだ。清らかだったはずの己の肉体が、たった一週間の間にジャンキーと化してしまった事実。

 今でさえこのザマなのに、これがひと月となったらどうなるのだろう。まして高校を卒業するまでには、まだまだたっぷり時間があるのだ。あのしつこい律季くんのことだ、大学に進学したって構わず追いかけてくるに違いない。私を彼女にするまで彼は諦めないだろう。

 そして私の肉体は、すでに屈服という名の快楽を覚えてしまった。自分で性欲を発散しようとしても、それが律季くんの手でないことに、かえって切なさが募ってしまう。彼の掌の感触が、おっぱいの奥まで届いて、魂に刻まれてしまったような気がする。


「――あー……私もうダメかも……♡♡」


 そうつぶやきながら、私は再び股間に指を這わせていた。

 どうせ満足はできないが、しかし今から律季くんに会うわけにはいかない。こんな朝早くから「我慢できないからおっぱい揉んで」と家に押しかけたりしたら、それこそ彼以上の淫乱ではないか。

 これ以上彼の思い通りになってはたまらない。登校するまではこの発情を、だましだまし耐えるしかなかった。とにかく学校に行きさえすれば、保健室で律季くんに会って、体中を好き放題にしてもらえるのだ。




「はぁはぁ……んむっ♡ ふぅっ……♡」




 ――早く律季くんに『遭いたい』な……♡ 

 再び自慰を始めた私の体の奥で、いやらしい声がそう言った。 




















 起きてすぐ、レイン先生に夢の中でのことを連絡した。

 悪の爪マーレブランケという新たな危機。そしてユウマとレンの言葉によって発覚した、俺という魔法使いの欠点についてだ。朝5時だというのに一瞬で既読がつき、返信が来た。


『おぬしだけで今から保健室に来るのじゃ。炎夏は連れてくるな』


(……レイン先生って、文章でもこの口調なんだな。可愛いからいいけど)


 俺だけで行く理由は記載がなかったが、細かい所は返信で聞くより会って確かめた方が早い。

 ほとんど人通りのない早朝の通学路をジョギングがてらひた走り、学校へ行ってみた。時刻は朝五時であり、朝練さえまだ始まっていない。レイン先生が指示した裏口から校舎内に入り、保健室のドアを開けると――


「どじゃーんとな」(ぱさっ♡)


「うおっ!?」


 目の前が突然真っ暗になる。なにか布状のものを顔面にかぶされた感触がした。

 驚きで息を吸い込むと、素晴らしく良い匂いが頭の中を満たし、寝起きの意識がクラリと揺れる。すわ、睡眠薬か!? と思ったが、次の瞬間視界は開け、レイン先生の妖艶な顔がそこにあった。


「な、なにするんですか先生っ!?」


「がんばってくれたおぬしに、ごほうびじゃ。今朝の夢はずいぶん敵が強かったらしいからのう。敵の急な申し出も聞き入れて、よく無事でいてくれた」


「……あ、はい。ありがとうございます。でもごほうびって一体……」


「なんじゃ、まだ気づかんのか? おぬしならすぐわかると思うたがのう」


「――はっ!?」


 その瞬間、俺はレイン先生の手に握られたブツの正体に気づいた。

 圧力に強そうな厚みをもった、黒いレースの布地。大玉のスイカを包めてしまいそうな巨大な半球。その内側は一層黒く湿り、いやらしい匂いがほこほこと立ち上っている。まさか……♥と思った時、レイン先生の手首がひるがえり――


「んぐぅっ♥♥!? んむぐっ……♥♥ むうう……っ!!♥♥」


「そう――わしの脱ぎたてのブラじゃ♡ ゆうべから着けていたものじゃから、たっぷり汗がしみ込んでおるぞ♡」


 ――ぐぐ~っ♡ ぐりぐりぐり~♡


 さきほどまで己の爆乳に密着していたであろうブラジャーを、思いっきり顔に押し付けた。

 炎夏さんと人気を二分する美女、爆乳養護教諭・雹冬ひょうどう冷音レイン。彼女のおっぱいを守るブラとは、単なる下着を通り越して、もはや聖遺物に近いものだ。生徒・教師ふくめた学校中の男どもすべてのあこがれの的を包み込む、神秘のとばり――それが今まさに、俺の顔面をゴシゴシスリスリしている。


 ――うわ~、すげぇっ♥ 炎夏さんには悪いけど、これはたしかに最高のごほうび……♥

 媚薬のごとき汗の香りと、いかにもお高い下着の触りごこちがたまらない。他の男たちが見たくて仕方ないブラジャーを、顔中で味わえる優越感に浸っていると、俺は突然ある事実にたどりついた。

 状況からしてほぼ間違いないはずだが、「いや、まさかな……」と本能的にブレーキをかけてしまう。そんなおそるべき事態が、この「目隠し」の向こうで起きている可能性が高い。


「ッッ……!?♥♥ ち、ちょっと待って……!?♥♥

 ――『脱ぎたて』ってことは、今のレイン先生はっ……!?♥♥」


「ふふ……おぬしの口から言ってみよ♡ 言わねば目隠しは外してやらんぞ♡」


「ノッ……『ノーブラ』ですよね!?」


「……ふふふ♡」


 そう答えた瞬間、ブラジャーが外されて――頭上に、「ふぁさっ♡」と何かが載る。サイズの合わない帽子のように、ブラが俺の頭にかぶされた。

 手の空いたレイン先生は、ゆっくりと手を自分の横腹のあたりにやって、白衣を両側からつかみ――思い切り引く。


 ――ばっつぅ~ん!!

 炎夏さんをも上回る凄まじい爆乳と、その先端の色づいた突起が――うっすい白衣に、パツパツのテントを張った。


(んおおっ……!?♥♥)


「よくできました……じゃ♡ わしが今まとっているのは、この白衣一枚のみっ♡ この下にはなーんにもつけておらぬ♡」


「な、なっ……なんでですか?」


「わからぬか? ――むろん、おぬしに我が柔肌の感触を献上するためじゃ♡」


「――え゛……っ♥♥♥♥」


 性欲の虫が、背筋でぞわぞわとうごめいた。あまりのことに体中が硬直する。

 なんだこれは? まだ俺は夢の中にいるのか? それも普段行っているあの『夢』ではない、自分自身の脳で作り出した、幸せな夢の中に――


「さぁ律季、さわってくれ♡ おぬしにおっぱい揉んで欲しいのじゃ♡」


「えっえっえっ……!? いっ、いや、ちょっと……はっ!?」


「……む? いやか? さわりたくないのか?」


「いやいや、そういうことじゃないですけど――でも、さすがに話が急すぎて……!!」


 白衣に浮かび上がった爆乳を、すぐ目の前に突き出される。レイン先生は俺をすぐ上から見下ろしつつ、媚びた声を囁いていた。

 胴体はスリムに、胸の部分だけ余裕がある白衣は、どうやら特注らしかったが――それでも、今にもボタンがはじけ飛んでしまいそうなほど圧迫されている。押し付けられすぎて、おっぱいの輪郭どころか、乳肉の肌色、乳首のピンク色まで布越しに見える始末だ。清潔感を保つために作られたはずの白衣は、すでに服としての効をなさず、ただただおっぱいのエロさを強調するだけのものになっている。男の汚い欲望と創造力を煽るためだけにそこに存在する、うっすいスケスケのおっぱいベールだ。

 あまりにもエロすぎる状況に、俺でさえ気後れせざるを得ない。迫るのはともかく、迫られるなんて始めてだ。それもこんな、極上の爆乳美女からお誘いを受けるなんて。


『う、嬉しいけど……いくらなんでも怪しいだろこんなの!? というか、俺には炎夏さんがいるし……!!』


『ひょ~~~~っ♥♥ おっぱいでっっっっけぇ~~~~♥♥ 揉める~~~~~っ♥♥』

 

『うおおっ、やめろ……! 俺も揉みたいけど、今すぐは結論出せねぇよ……!!』


 珍しく俺の頭の中で、天使と悪魔が戦いを繰り広げていた。黒い翼を生やし、額に第三の眼をもった悪魔が、目をぐるぐると回しながらレイン先生の爆乳へダイブしようとしている。制服を着た天使は、そいつを羽交い絞めにして止めようとしていた。

 通常俺の思考とは、理性・本能ともにいけいけである。なぜなら俺にとっての『正義』とは炎夏さんを手に入れることだからだ。だが今は、最近ちょっとずつ軟化している炎夏さんへの遠慮と、レイン先生の誘惑への妙な違和感でブレーキがかかっている状態だった。

 むろん天使も悪魔も俺なので、おっぱい揉みたいのは同じだ。――しかし、ここは軽率な判断を下すわけにいかない。とにかく意図を聞いて、炎夏さんに相談してから出ないと。――むろん、揉めるように説得するつもりだ。


「……のう律季。おっぱいの大きい女とは、なぜ生まれるかわかるか? 

 乳房とは本来、授乳の為の器官じゃ。その用に足るならば、それ以上の量はいらぬはず。わしらのような女の乳に、どんな『つかいみち』があると思う?」


 まさしく教師の口調で突然そう言われ、俺は無意識に考える。

 とっさに思いついたのは、「男に揉ませるため♡」という最低な結論だ。しかしレイン先生は、俺の思考を読んだかのように「ぴんぽんぴんぽーん……100点じゃ♡」とおどけて。


「そうじゃ、決まっておる♡ ――女がデカチチに生まれてくるのは、好んだ男に肉の感触を愉しんでもらうため♡ ただそれだけじゃ♡

 つまりおぬしに揉んでもらえねば、悦んでもらえないのなら……わしは、おっきなおっぱいをつけて生まれて来た意味がないのじゃ♡」


「――ッッッ~~~~~~!!♥♥」


 興奮で頭が真っ白になりそうだった。「好んだ男」……つまり、レイン先生は俺の事を……っ♥ 

 それが嘘か本当かはどうでもいい。レイン先生の囁きがもたらす多幸感に、俺はただただ酔いしれる。


「おぬしは機関の魔法使いとして、この町全てを守っている男じゃ♡ わしや炎夏を狙う他の男どもも、おぬしの助けがあってこそ日々生きていられるのじゃぞ♡

 わしら二人の爆乳を独り占めしても、バチは当たらぬ♡ むしろ当然の権利ではないか♡」


「ひっ、独り占め……?」


「おぬしの正義のセクハラで、この保健室におっぱいハーレムを作ってしまうがよい♡ そうでなくては、わしらごときデカパイ女に存在理由は無かろう♡ わしのおっぱいを無駄なおっぱいにさせないでおくれ♡ さぁ、おててをつきだして――むにゅっ、と♡」


「ふ~~っ、ふ~~っ……!!」


 ダメだ、ダメだ。こらえろ、こらえるんだ。必死で自分に言い聞かせる。

 たった数センチ手を前へ動かしただけで、たちまち天国へ行ける――その誘惑に抵抗できるのは、やはり炎夏さんの存在だ。

 自意識過剰かもしれないが、黙って他の女の人のおっぱい揉んだりしたら、たぶん炎夏さんは嫉妬するだろう。ヘタすると泣かせてしまうかもしれない。怒らせるののは興奮しないでもないが、悲しませるのはさすがに耐えられない。


『いっときの感情に流されて好きな女の子を悲しませるのか? そんなもん死んだ方がマシだ。ここは我慢して、後で出直すんだよ』


『ぐぅ……たしかに』


 俺の中の悪魔も、天使の説得を聞き入れかけている。

 ――よかった、これで……。そう思った時、レイン先生は突然、きれいな眉を寂しそうにゆがめた。


「うーむ、ここまで言うても食いつかぬか……。

 そうか――やはり律季は、わしのようなオバサンの胸など興味がないのじゃな……」


「――あ゛っ?」


 カチッ。頭の中で、何かのスイッチが切り替わる音がした。

 オバサンだ? 誰が? こんなビシバシまつ毛で、ピッチピチの肌からいい匂いさせておいて。廊下を歩くたびにおっぱいをぶるんぶるん、お尻をフリフリさせて男どもを誘っておいて。そのくせ、いかにも恋愛に関しては百戦錬磨ですって感じの、大人の魅力を漂わせておいて……オバサンだと?


「そうじゃな。律季には炎夏という若くてかわいい恋人がおるものな……。8つも年上の女教師に言い寄られたって、気持ち悪いだけじゃろうな。

 所詮、おぬしのようなかっこいい男とつりあうわけがない。わしのようなババアは、せいぜい脂ぎったジジイ教師の慰み者になるのがお似合いなのじゃ……」


「――!!」(ぶちんっ!!)


 ……ふざけんなよ。同僚にいくら言い寄られたって袖にしてるくせに、どの口でババアとか言ってるんだ。……というか俺の8つ上ってことは、この人まだ23歳!? いやいや、気持ち悪いどころかそんなもん――死ぬほど興奮するに決まってんだろ!!

 自分でもわけがわからないが、とにかく強烈な怒りが腹の底から湧き上がってきた。


『冗談じゃねぇ……!! こんなきれいな女の人を、おっさん連中なんかに渡してたまるかってんだ……!!』


『上等だっ!! 自分が女としてどれだけ魅力的なのか、この俺が教えてやる……っ!!』


 天使と悪魔の意見がそろった。ハルマゲドンの開始である。

 俺は義憤に駆られ、レイン先生のおっぱいに向けて手を伸ばした。




「――ちょっとまったーっ!!」


「……む、炎夏か」


「――なぁっ!?」



 

 炎夏さんがいきり立って入って来た。目の前には――レイン先生のノーブラおっぱいに向かって、掌を向けた俺。校内に誰もいないと思っていたし、そもそも行為に及ぶつもりもなかったので、ドアにカギをかけていなかったのだ。


「……律季くん、これはどういうこと? こんな朝早くからレイン先生と二人っきりで、なにをするつもりだったのかしら」


「……」(やっべぇ……!! めっちゃ怒ってる……!!)


 嫉妬してくれるのはすごく嬉しいけど……非っ常ーにまずい。だってこれは、完全に現行犯だ。おっぱいに触れているわけではないけれど、この状況では大差がない。実際、もうすっかりその気になってたし……。

 メラメラと燃える炎夏さんと、先生のデカブラを頭にかぶったまま冷や汗をダラダラ流す俺。手を引くことも忘れて固まっていると、レイン先生が。


 ――むんにゅ~~~~っ♡♡


「……んっ♡」


「――へぇっ!?」


「うぉ……っ♥♥」


 出しっぱなしの俺の手を掴み、自ら白衣越しに胸へ押し付けた。

 浮気がバレた緊張状態と、先生の爆乳の素晴らしい感触。もういろいろとパニックだ。


「よーしよし、怖かったのう律季♡ もう安心じゃぞ♡」(むっぎゅ~♡)


「ああっ……ああ……♥」


「ちょ、ちょっとぉー!? なにしてるんですかレイン先生っ!?」


 炎夏さんから守られるように、レイン先生に優しく抱きしめられる。

 洗濯されて優しい匂いを放つ白衣が、ノーブラおっぱいのふかふかの感触をくるんで、まるで上質の枕カバーのよう。目の前がバラ色になり、炎夏さんへの申し訳なさも一瞬吹っ飛ぶ。ダ……ダメだ。このままではいよいよ収拾が……!


「なにをじゃと? むろん悪の爪マーレブランケへの対策じゃが……言わねばわからぬか?」


「「――え?」」


「律季の『生命力の鉄拳リビドー・ナックル』は、読んで字のごとく、性的欲求が発現した物じゃ。興奮の大小が能力の多寡につながっているとすれば、炎夏一人よりわしを含めた二人分の乳を揉ませてやったほうが、新発見の可能性は高まる」


 『そうなの?』と炎夏さんが目線でもテレパシーでも語り掛けて来る。俺は『知りません』と正直に答えた。こっちは「保健室に来い」としか言われていないのだ。たぶん、炎夏さんに黙って他の女性に手を出すという背徳感を演出しようとしたのだろう。まさか俺に手を出した言い訳ではないだろうし。


「でっ、でも! 律季くんの能力は、バディの私以外には発動しないんじゃ……!?」


「それはあくまでも推論にすぎん。魔装形成フォーミングアームすべてに言えることじゃが、固有能力がどのようなものかというその全貌は、完全には解明できぬものじゃ。実験と実戦を積み重ねて、状況証拠から能力を推理することしかできぬ。

 律季が他の魔法使いの乳を揉んだ事がない以上は、『乳揉ちちもみ技巧スキル』の対象がバディのおぬしだけという保証は一切ない。新発見の可能性はいくらでも残っておる」


「そ……それだけであんなことまでさせたんですか? マジですか先生」


『あんなことまで……? な、なにしたのよ律季くんっ!?』


「――それだけで、じゃと? 何を言っておるか。むしろ今、これ以上に急を要する問題はないぞ。

 悪の爪マーレブランケが出てきたのじゃぞ。もはや悠長に構えてはおれん。試せることはなんでも試すべきに決まっておろう」


 真剣な……というよりもムカついた表情でそう言われると、俺たちも黙るしかない。

 機関の幹部たるレイン先生なら、悪の爪マーレブランケとやらの脅威もご存じのはずだ。なにせ、彼女がここまで危機感持って話すのは初めてである。


「……そんなに、まずい相手なんですか?」


「……当然じゃ。教国の最高戦力じゃぞ。それも一番下の第11・12席ではなく、第9・10席のバディ……。

人形使いのロイロイ・ザ・パペッティア』そして『大喰らいのマルスマルス・ザ・グラトン』――『支配の右手』の二指。特にマルスの能力は、おぬしら二人にとって相性最悪と言っていい。この戦いは勝てる勝てないというより、『どうやってやりすごすか』にかかっているのじゃ。

 わしも機関に増援を頼んでおるが、いかんせん人材難での……数いれば倒せる相手でもないし、正直わしにも先が見えん状況じゃ」


「気になってたんですが、なんで12人いるうちの9番と10番なんですかね? 一番下から来そうなもんですけど」


「その点はわしにもわからん。なにしろおぬしらは有望株とはいえまだまだビギナーじゃ。向こうにしてみれば、たとえ第12席ひとりでも過剰戦力のはず。それをわざわざバディで来て制圧するなど、どう考えても勘定が釣り合わぬのじゃ。なにか他の……あるいは、個人的な理由があるとしか思えん」


 椅子に座り、頬杖をついたレイン先生の腕が、ノーブラおっぱいを「ぎゅむぅ……♡」と歪ませる。机の上に片乳がのしかかっていた。

 ……全然話が頭に入ってこない。俺の体が、完全にエロいことする体勢に入ってる。おっぱい以外何も考えられない。


「まぁ……あちら側の意図は、わしらがいくら頭をひねっても分からぬ。ともかく今やるべきことは、あらゆる手を尽くしてパワーアップを模索することじゃ。試行錯誤を繰り返して己の力を知る事も、魔法使いにとって重要な鍛錬じゃからの。

 炎夏が嫉妬するのも分かるが、今はそんなことに構っておれる状況ではない」


「しっ、嫉妬なんかしてません!」


「そうなのか。ならば、律季がわしの乳を揉んでもよかろう」


「それとこれとは別問題ですっ!!」


「……どうしたいんじゃおぬしは」


 ――わけのわからない状況だ。俺のおっぱい揉む揉まないをめぐって、ものすごい美女が二人して争いを繰り広げている。

 今回ばかりは負い目があるので、俺も口出しできない。なんというか、本当に浮気がバレたみたいな気分だ。


「だってレイン先生は、律季くんの怖さを分かってないじゃないですか! 

 毎回毎回、どれだけイヤだって言ってもやめてくれないし、お尻とか髪の毛とか全く無関係の部分も好き勝手いじるし!」


「わかっとるわい。こちとら、おぬしらが乳繰り合う一部始終を横で見とったんじゃぞ。全部承知の上での提案じゃ」


「うぐっ……それはそうですけど! こんなのいいんですかレイン先生!?

 ただただ律季くんにとって都合がいいだけじゃないですか!? 彼は結局、能力を言い訳にエッチなことがしたいだけなんですよ!?」


 ――うわぁ、なんも言い返せねぇ。

 俺は全く気分を害さなかったが、一方でレイン先生は炎夏さんの言葉に眉をしかめた。


「危機に対処するための非常の措置だと、なんべん言わすつもりじゃ。

 そもそも『生命力の鉄拳リビドー・ナックル』の特性は、律季にとっても制御がきかぬもの。だからこそ『属性無視』という特殊性を隠せず、敵に狙われてしまう事態になったのじゃ。だがそれは律季自身の非ではない。女の乳を揉まねばならぬという条件も、あくまで発現の結果としてそうなっているだけであって、そこに律季の意志は介在しておらぬ。たとえそれを言い訳にしていたとしても、事実そうせねば戦えぬ以上、責める余地はないのじゃ。

 おぬしにしても『乳揉ちちもみ技巧スキル』のおかげで、ユウマの攻撃を生き残れたのだぞ? なぜそうも律季を責める?」


「……っ……。す、すみません……」


(……むぅ)


 詰められた炎夏さんは黙り込んでしまった。本気でへこんでる感じだ。

 正直「そこまで言わなくても……」ともやもやした気分になる。あんな理屈は無理やりひねり出したものであって、炎夏さん自身本気でそう考えているわけじゃないのだ。あと、いくらやむをえない理由でも、セクハラが全部正当化されるわけがない。炎夏さんに怒ってもらえるからこそ、こちらも気兼ねなくできるのであって、擁護されるとかえって罪悪感がある。

 レイン先生に弁護されている当の本人としては、言いにくいことだが――炎夏さんがこれ以上責められるようなら、止めなくてはならない。

 そう思った矢先にレイン先生が目つきを緩めて、俺の顎のあたりに手をやった。


「それにな、律季……♡ わしは恥ずかしながら、この年まで『男女の営み』というものを知らずにきた女でのう♡ 恋人を作った事さえ一度もない……炎夏と同じ恋愛処女なのじゃ♡」


「えっ!?(歓喜) ……いっいや、嘘でしょ。先生方だけでも何度も言い寄られてるって……!」


「そりゃあ、保健教諭と機関の魔法使いという、二足のわらじを履いておる身じゃからの。故もない恋愛に耽ってはおれん。

 ――だからこれは、わしにとって正直いい機会なのじゃ……♡ 仕事ついでに男の味を知ってみるのも、悪くないと思うてな♡」


 絶対に嘘だ。男性経験皆無の人が、あんなマネをできるわけがない。さっき俺を誘ったムーブなんて、まさに百戦錬磨の手管だった。

 教国の敵に対抗するために、できるだけ俺を興奮させたほうがいいと、レイン先生が自分で言っていたじゃないか。これも含めて、全てがそのための演技――頭ではそうわかっていながら、心臓は動悸を止めてくれなかった。


 だって、レイン先生の言う事が本当なら、俺は騙されていたほうがいいじゃないか。素直にメロメロになっておけば、俺の『鉄拳』は強くなるのだから。

 ひょっとすると男性経験がないのも本当で、それでも俺の為にがんばってエロい演技をしてくれているのかもしれない。だとしたらすごく萌えるし、なおさら騙されてあげたくなる。


「どうじゃ律季? 炎夏がおぬしを嫌いと言うなら、わしがもらってやってもよいぞ……♡ むろんおぬし本人が嫌がれば、わしも身を引くしかないが……逆におぬしさえ望むなら、我が操さえも自由にできるのだぞ♡♡」


「みっ、操って……先生、そんなっ!?」(あたふた)


「う、嘘でしょ? それって……!!♥」


「ああ、構わぬぞ。まだ学生の炎夏は、家族の目や社会的な制約があるゆえ、そうそう一線は越えられんが――

 その点、わしは手に職もあるオトナの女……♡ 炎夏にはできないエロい事も、ぜ~んぶ解禁してやれるぞ♡♡ むろん、わし自身もうぇるかむじゃ♡♡」


「――ごくっ♥♥」


「なぁ、律季よ……♡ このみっともないカラダに、オトコを教えてはくれぬか……?♡♡ 若い腕力で大人の女を組み敷き、本能のままこの胸を揉みしだいて……教師と生徒の関係を、ベッドの上でひっくり返して……上から目線の養護教諭を、ひれ伏させてしまいたくないのかっ?♡♡ のう♡♡ のうっ♡♡」


 レイン先生は、すぐ横の保健室のベッドに艶っぽい視線を投げながら、媚びた声で誘惑する。

 ――つまりは、俺が首を縦に振りさえすれば、できてしまうということだ。レイン先生が今言った、まさしく男の妄想ユメを詰め込んだようなプレイを。今すぐに。ここで。多分これからも。


 『先生の提案を受け入れてしまえば――あそこで、なんでもさせてもらえるんだ♥』

 そのことを認識した瞬間、思考は完全にショートした。頭もゆだったまま、ほとんど無意識に、俺は首を縦に振って――


「――だめ……♡ 律季くん♡ そんなことしたらだめ……♡」


(……っ! そうだ、俺には炎夏さんが……!)


 俺の裾をちょんとつまんだ炎夏さんの声が、俺自身の理性の声となって、獣欲を急速に覚ました。

 俺自身意外なことに、残念とか邪魔されたとかいう考えはまったく湧いてこない。むしろ、助けられたという思いがあった。「よ、よかった。危なく間違いを犯すところだった……」という安堵の気持ちだ。

 しかしその安心は、次の彼女の言葉で完全に吹き飛んだ。




「君は私のことが好きなんでしょ……?  レイン先生に童貞あげちゃだめっ♡♡ 私じゃなきゃやだぁ……っ♡♡」




「――――え゛……っ!!!???」




 涙目になった彼女に、そう懇願された俺は――驚愕を通り越して、宇宙に連れて行かれた。

 えっ? マジでなんなんだこの展開。やっぱり夢? それともユウマさんのいたずらか? 


『人聞きの悪い事言わないでよ!? こんなことしてボクらに何の利があるのさ』


『そもそも魔法使いに暗示は効かねぇっつってんだろ。ちゃんと現実を見ろ』


 で、ですよね……!

 イマジナリーユウマさんとイマジナリーレンさんの無情なツッコミ。弱り果てた俺が内なる対話を繰り広げている間にも、時間はどんどん進んでいく。俺たちの取り乱しようを見ていたレイン先生は、「くくく……♡」と妖艶な笑みを浮かべて、椅子から静かに立ち上がった。




「まぁ、そのへんのことは後で考えるとしよう。すべては、わしのおっぱいを揉んでからじゃ……♡」




 ベッドの上に腰掛け、ポンポンと自分の隣を叩き、そこに座るよう先生が促す。

 俺は魂が抜けたようにそこへ向かい、拗ねた炎夏さんもついてきたのだった。









天道てんどう炎夏ほのか


 ヒロイン。バスト124cmRカップで黒髪ロングの大和撫子。 

 生来のマゾと妄想癖をどんどん覚醒させている。自制心が強くて社会的地位がある女性ほど、不健全な恋にはまるものである。

 実は律季に劣らない天性のスケベで、ほぼ毎晩自慰をしている。いわゆるおかずは男に責められる系の女性向けエロ漫画。

 律季のことは嫌い嫌いと言いながらも、いざ誰かにとられそうになると怖くて泣いてしまうぐらいには重い感情を向けている。実にめんどくさい女である。




水鏡みかがみ律季りつき


 主人公。オレンジ色の短髪をした、デコ出し鼻絆創膏の少年。童貞。

 これまではひたすらいけいけだったが、今回は珍しく攻められっぱなし。あまりの展開に内心ビビっている。基本的にSなので、好感度が低い相談は攻めの姿勢を崩さないが、いざ女性の方から好意を示されると照れてしまうようだ。

 童貞である彼にとって、ここから先は未知の領域である。果たしてどうなるのか。



 

雹冬ひょうどう冷音レイン


 機関の偉い人。132cmUカップでメカクレモノクルでタイトスカート。全身エロの塊の養護教諭。

 23歳にして養護教諭の資格をとり、裏では機関で働いているという謎多き美女。ちなみに処女。

 虚実おりまぜた巧みな話術で炎夏と律季をたきつけ、『生命力の鉄拳リビドー・ナックル』のさらなる覚醒をしむける。ここまでして律季を誘惑するのはむろん教国との戦いに備えるためだが、耳年増なのでエロいことにも興味津々。律季が炎夏とヤるところを見るのが内心楽しくて仕方なかった。

 ブラを年下少年の頭にかぶせたり、浮気誘惑してみたりと、恋愛処女のせくにやりたい放題。律季以上にフリーダムかも。




 次回、おっぱいサンドイッチ。



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