12. 巫女の純潔が穢される時 その2(♡)



 不可視の鎖レイン先生の念力が、両目にハートマークを浮かべた天道先輩の両腕を吊っている。

 拘束されているということが外見からは分からないため、パッと見だと自ら服従のポーズをとって、『食べてください♡』と主張しているようだ。しかし、彼女の頬には「つ……つぅー……っ♡」と、一筋の涙が流れている。


 きっと悔しいのだろう、怖いのだろう。「先輩が泣いてるっ♥ 泣いちゃってるっ♥ 俺が泣かせたっ♥ 俺が泣かせたっ♥ やったぁ~~~~っ♥♥」と、暗い興奮が渦巻くのを感じる。

 「さすがに申し訳ないなぁ……」とつぶやく俺の理性もまた、「だから……」「俺がしっかり気持ちよくして、怖いの忘れさせてあげなきゃ……」という身勝手な結論に至っていた。

 俺を獣に変えていたのは――許しを乞うようなしおらしい表情で、おいしそうな腋をむき出しにし、一糸まとわぬメートル越え爆乳を張り出す先輩の姿だ。目の前にある『それ』は、今の俺にとっては山盛りのゴチソウにしか見えなかったのだ。


 俺は身動きできない先輩の顔に舌を、丸出しのおっぱいに手を、それぞれ近づけ――「ひっ……や、やめて……♡ う、ううう……っ♡」と怯える反応をたっぷりと堪能しながら――

 彼女の涙を『ぺろっ♥』と舐めとり、『むにゅぅぅぅぅ~~~~っ♡♡』と両手を乳肉にうずめた。


「ッッッ~~~~~♡!」


「うわっ……先輩のほっぺた、美味ぁ……掌の感覚がなくなりそう……♥」


 おっぱいのあたたかさに包み込まれる俺の手の中央を――出っ張った堅い感触が押し込んでいる。

 ……先輩の乳首、大きい。すごく勃起してる。彼女が興奮しきっていることが一瞬でわかるほどに存在感のある感触だ。爆乳の中でとろかされそうになる俺の掌が、まだあることの証明になっている。


「……ッ♡ ……ぐ……ぅっ♡」


「涙の味はどうだった? うれし涙は甘い味がするそうだが、悔し涙はナトリウムの塩気があるというぞ」


 先輩は瑞々しい唇を必死で引き結び、声をあげないように意地を張っている。そんな彼女をじっくり攻めていると、レイン先生が保健教諭らしく、雑学を披露する。

 俺が先輩の涙に感じたのは、海の水をギリギリまで希釈したような、ものすごく繊細なしょっぱい味だった。つ、つまりあれは……♥


「……辛い思いをさせてごめんなさい、先輩。

でも……先輩のくやしい気持ちがい~っぱいつまった涙、とってもおいしかったですよ……♥」


「!!?? ……ふっ、ふぁんっ…♡♡」


 自分でも信じられないぐらい気持ち悪い台詞を思いついて、それを耳元でささやいてやると、先輩が動揺する。そのせいで我慢できなくなって喘ぎ声が漏れた。こうなったらこっちのものだと、俺は責めをさらに強める。

 指を全部おっぱいに突き立て、もみくちゃにしながら、掌底で乳首をぐりぐりと圧迫する――先輩を気持ちよくするというよりは、乳肉と乳首の感触を同時に味わいたいというだけの、自分優先の動きだ。「おい、ちょっと待て律季。もうちょっと工夫しないと胸だけでは気持ちよくさせられんぞ」とレイン先生も言う。しかし、そんな動きで彼女は――




「ん……っ♡ ぐぅ……っ♡」




「はっ……♡ んぅっ♡」「ふぅ゛ぅ……っ♡♡ くぅっ♡♡」




「んぅううっ♡♡」「ッ……ふぁぁっ♡♡」「はぁぁぁんっ♡♡ ふぁぁぁぁぁんっ♡♡」



「……!」(す、すっげ……♥)



 わずか一分で反抗的な態度がすっかり消え失せ、白い歯を見せて喘いでしまうようになった。シーツの上で女の子座りする美脚もじたばたと小刻みに動き、快楽を逃がそうと必死である。

 彼女が醸し出す凄まじいエロスに、俺はほとんど圧倒されていた。口を利くことも忘れて両手でおっぱいを揉みしだき、一秒ごとに変化する先輩の表情を夢中になって見まくる。

 さっきから揉み方は一切変えていないのに、先輩の反応だけがどんどんエスカレートしていた。こんな童貞丸出しの俺の手で、ここまで感じてくれるなんて……嬉しいというより、いくらなんでもおかしいだろ、という思いが勝る。


(女の子って胸だけでこんなに感じるもんなのか? 都合よすぎて頭おかしくなりそうなんだけど……す、少し止めよう)


「ぁぁぁぁん♡ ふぁぁぁぁっ♡」


(……うう……ダメだ、手が止まらない……! 楽しすぎて体が言う事聞かねえ……!)


「うーむ……開発されずにそこまで乱れるとは思えん。炎夏、やはり男性経験が……」


「あ、あるんですかっ!!??」


「な、ないわよバカ……!」


「……では、ひとりでいじくっておったのか?」


「それも違いますよ! ……ま、まあ、まったくやってなかったとは言えませんけど……。

恐らくですが、これも水鏡くんの能力が関係しているんでしょうね。じゃなきゃ、こんなに気持ちいいはずが――」


 言い終わるのと同時に、天道先輩は失言に気づいたようで、「あ……!」とばかりに息を飲んだ。口をふさごうとしたようにも見えたがあいにく腕は固定されたままである。そして、今更気づいてももう遅かった。


「先輩、もっかい言ってください」


「……い、いやよ……♡」


「もっかい言ってくださいってば、このこの」


「――ふぁぁっ……♡」


 人差し指の腹で両方の乳首を、くりくりとなぞる。押し込むより、くすぐったいぐらいの力加減だ。

 俺の言葉には目を背けて回答を拒否するものの、性感帯をいじられた甘い声と、首をすくめて快楽に耐えようとする動き自体が、「水鏡くんのおてて、気持ちいいよぉ……♡」と語っていた。あー、かわいいなぁ。


「このむっつりすけべめ。それだけでこんなに敏感になるわけなかろう」


「だっ、誰がむっつりすけべですか! 私がこんなになってるのだって全部水鏡くんが……」


「そりゃあ、魔力経路からくる発情じゃからの。感度がブーストされているのも、律季の接触が魔術的な効果を発揮し、高い性感を与えているのも事実じゃ。

しかし……それだけで、今の炎夏の乱れようにはならん。つまりむっつりすけべなおぬしが、律季のことを過度に意識しすぎておるせいでもあるのじゃ。律季だけのせいではない」


「………………せ、先輩……そうなんですか? だったらめちゃくちゃうれしいんですけど」


「み……水鏡くんが変態なせいで、怖くなってるだけよ!」


「おやおや……こやつ、この期に及んで、まだおぬしが悪いと言っておるぞ? 強情張りよのう……♡」


 なるほど……俺を拒絶しようとがんばっているせいで、かえって俺のセクハラを強く意識しているということか。

 心理学は良く知らないけど、普段そうやって気張っている人の方が、多分折れやすい。そして、心を折る側も屈服させる快感を味わえる。それは、つまり俺のことだ。


「くくく……『さんざん俺のこと悪く言いやがって、お前だって変態じゃねぇか~っ♡ このむっつりすけべめ、ほんとはうれしいんだろ~っ♡ もう二度と生意気言えないように、いっぱい調教してやるからなぁ~っ♡』」


「う、うれしくないっ! 変態じゃない……!!」


「今言ったのレイン先生なんですけど……どんだけ必死なんですか。まあ、いいですよ――イかせてあげれば、本当はどうなのか分かると思うし♥」


「っ……イ、イかないもん……♡ 全然気持ちよくなんかないもん……♡」


 ――ぐりっ!


「ひぁぁぁんっ♡♡!?」


「素直でないなら胸に聞いてやれ。もっとも、たいして意地も張れておらぬがな……。

抵抗しているのは口だけで、あとはもうすっかりおぬしに陥落する寸前じゃ♡ カラダも……ココロも♡」


 先輩のココロが、落ちる……?

 そうだ。確かに右手から感じる先輩の鼓動も高鳴って、息は甘く荒くなって、抵抗の意志も折れかけているのが、トロトロした目つきからわかる。そんなになってもまだ、気持ち良くないと言い張るのがかわいいが――そんな彼女に、少しだけ苛立つ自分もいた。

 だから――楽に終わらせてあげないことにした。じっくり追いつめて、心が折れる瞬間を楽しんでやろうと思った。


「んっ……んぅ……♡♡ み、水鏡くん……?」


 ――コスコスコスコス……♡

 俺は、彼女の乳首をゲームパッドのスティックに見立てるような格好で、親指を両側に乗せた。そして万一にも爪など立てないように慎重に、半径をギリギリまで小さくした円を描いて擦りまくる。


「ふんっ……はぁ……♡♡ ちょ、ちょっと……♡♡」


 ――コスコスコスコス……♡♡ コスコスコスコス♡♡

 少しずつ余裕をなくし、快感を蓄積させていく先輩のオンナの顔を、間近でガン見。恥ずかしそうに眼をつぶる彼女の様子を、まばたきせず観察しながら、ただ黙々と乳首をこすり続ける。


(今、下唇を軽くかんだな……よし、このへん)


「くぅっ……♡♡ ふ、ンっ……♡♡」(や、やだ……このままじゃほんとにまずいっ……♡ い、イかない……ぜったい、水鏡くんにそんなとこ見せないもんっ……!!)


 ――しゅりしゅりしゅりしゅりしゅりしゅりしゅり……♡ 

 先輩がぴくりと震え、下唇をかんだのをきっかけに、俺は人差し指と中指の間を使って、激しく乳首をこする方法に切り替える。腕を吊られた彼女の腰が、少しずつ浮き上がって来ていた。そろそろ限界が近いようだ。


「ふぅ……っ♡♡ くんぅっ……♡♡」(ダメ……もう、ガマンできないッ……♡)


 目をつぶり、眉間にしわをよせて必死に気持ちいいのをこらえる彼女。

 負かしてやるっ、逃げられると思うなっ……! 俺は先輩にトドメをさすべく、耳元に口を寄せて息をふきかけ――乳首を互い違いの方向につねりあげた。


「くぅぁぁぁぁぁぁぁ……ンっ♡♡♡♡♡♡」


「……!!」


 イった……イった!!

 歯を食いしばっていた口が、絶頂に耐え切れずに開いて、さえずりを高く響かせた。その拍子に先輩の背筋が「ピーン♡」と伸びて、おっぱいの位置が高くなる。彼女の体が熱を発し、心拍数が高くなったのが、胸越しでも伝わった。俺は乳首から指を離し、先輩の絶頂がおさまるまで、ゆっさゆっさ♡ と優しく爆乳をこね続ける。


「はぁ……はぁ……♡」(水鏡くんの手つき……すごかった……♡)


(――あ、目が……)


 先輩の潤んだ瞳の中からじわじわとハートマークが消えていく。それは発情効果が消えた証だ。

 まさしく炎を思わせるほど熱く脈打っていた彼女の体が、一呼吸ごとに落ち着いていくのを感じる。


「ほう……もしかすると何回かイかせねば終わらんかと思ったが、一度で十分なのか。あるいは引き出して使った魔力の量に比例するのか?」


「レ、レイン先生……♡ いい加減この拘束解いてくださいよぉ」


「おお、そうじゃったな。ほれ」


「……」


 しかし、俺の中の獣性はうねりを増すばかりだった。

 まだヤり足りない、こんなのじゃ満足できない、もっとめちゃくちゃにしたい――俺が内なる欲望を暴れ狂わせる中、天道先輩とレイン先生の態度は着実に正常に戻っていく。それが寂しくて、惜しい。


 天道先輩は抵抗できなくて、レイン先生も応援してくれて――ここは俺にとって、『何をしてもいい場所』のはずだ。

 この時間がこんなにあっさりと終わってしまうなんて認められない。まだ、このカラダを食べつくしてない。


「はぁ、よかった、これで……」


創造クリエイション」(がしっ)


「――え?」


 レイン先生が杖を一振りして、天道先輩の腕が自由になる。服を取ろうと動かしたその手を俺は引っ掴み、。二人があっけにとられる一瞬、俺は先輩を押し倒してのしかかる。爆乳は依然として一糸まとわず、おいしそうな白い肌とピンクの乳頭が俺の前に君臨している。


「み、水鏡くん……?」


「こんなのじゃ全然足りないですよ、先輩……。先輩がエッチな顔になるところ、もっと見たいです」


「――ひゃぁっ!?」


「お、おい律季? すでに催淫は……」


「催淫効果が解けたからハイそれで終わりなんてイヤですよ。こっちはこのおっぱい揉みたくて、入学ん時からずっと我慢してきたんですから。先輩に快楽を教え込んで俺のモノにするまで、終わらせる気はありません」


「はっ……はぁっ!?」


 思いもよらぬ傲慢な宣言が心の奥から飛び出してくる。俺はどうやら、自分で思っていたより凶暴な人間らしかった。


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