僕が子供たちにお布団で聞かせた物語

蛟 禍根

白猫と黒猫とお魚

あるところに白猫と黒猫が住んでいました。

白猫と黒猫はとっても仲良し。

いつも一緒に日ひなたぼっこをしたり、

はらっぱで追いかけっこをしたり、

丸くなってお昼寝をしたりして過ごしていました。


ある天気のよい日、その日ふたりは地面にあいた穴からでてくるありんこを

キャッキャいいながら眺めていました。

その時どこからかとってもいいにおいがしてきました。


そのにおいは風に乗ってふわりふわりとふたりのお鼻を

くすぐります。

「とってもいいにおいだねぇ」

「うん、とってもいいにおいだ」

そういうと二匹はいいにおいのするほうへ向かって歩き始めました。

どうやらいいにおいは山の上の小さな小屋からのようです。


テクテク二人で歩いて山を登っていくと

お爺さんが小屋の前でお魚を焼いていました。

右手にはうちわを持って、

「パタパタ、ふぅふぅ」と空気を送っています。


猫たちはおじいさんの元へかけよると

「おじいさんこんにちは」

「おじいさんこんにちはっ」

とあいさつをしました。


お爺さんはやさしい顔で二人を見ると

「おやおや、白猫君黒猫君こんにちは」

といいました。

「おじいさん、お魚のにおいいいにおいだね」

「おじいさん、お魚のにおいとってもいいにおいだよ」


「このお魚はね、お爺さんが今日海で釣ってきたんだよ」

「おじいさん、僕、このお魚食べたいよ。」

「おじいさん、僕もこのお魚食べたいよ。」


お爺さんはにっこり笑うと

「いいとも、いいとも。じゃぁお魚にふうふう息を吹きかけておくれ」

といいました。


二人は「やったぁ」と喜んでお爺さんのお手伝いをすることにしました。


「パタパタ、ふぅふぅ、ぱたぱた、フゥフゥ、お魚お魚焼けたかなぁ♪」

「ぱたぱた、フゥフゥ、パタパタ、ふぅふぅ、お魚お魚焼けたかなぁ♪」


しばらくするといいにおいはもっともっと当たり一面に広がりました。

「あぁーん、おじいさん、僕まちきれないよう」

「あぁ~ん、おじいさん、お魚早く食べたいよう」

と、二人はのどをごくりごくり鳴らせながらお手伝い。


お魚がきれいに焼きあがりました。

こんがり焼けてジューシーでお魚からは透明なあぶらが

ぽたぽたと落ちています。

お爺さんは焼きたてのお魚を笹のはっぱに載せると、

二人に一匹ずつ渡してくれました。


「さぁさぁ、そのお魚を持ってお行き」

おじいさんはやさしく二人にそういいながら

見送ってくれました。

「おじいさんありがとう!」

「おじいさんありがとう!」


白猫と黒猫の二人は、お魚を持って海が見える

丘に登りました。

海はおひさまの光を受けてキラキラ、キラキラと

輝いています。


二人は木の切り株に腰を下ろすと、

「いただきまーす」

「いただきまーす」

といってお魚を食べ始めました。


「はふはふ、ハフハフ、お魚おいしーーい」

「ハフハフ、はふはふ、焼きたてお魚おいしぃーい」


二人は仲良く、とってもきれいにお魚を食べました。

おなかがいっいになった二人は、眠たくなってお昼寝をしました。

二人ともお昼寝で見た夢はやっぱり焼きたてのお魚を食べる夢でした。


= おしまい =

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