嫌われていると思って彼を避けていたら、おもいっきり愛されていました

第24話 ルドルフ様の事が気になります

「アメリナ、今日もルドルフ様、学院にいらしていないわね。一体どうしたのかしら？」

不思議そうに呟くサーラ。私はルドルフ様を忘れるため、ルドルフ様からのエスコートを断って以降ずっとルドルフ様を避けていたのだ。でも、なぜかものすごく悲しそうな顔で、ルドルフ様がこちらを見ていたのだ。

その顔を見ると、なぜか無性に胸が締め付けられる。どうしてあんな悲しそうな顔をするのだろう。

そして1週間くらい前から、ルドルフ様は学院に来なくなってしまったのだ。もしかして、私が彼を避けていたから？でも、大嫌いな私に避けられても、痛くもかゆくもないと思うのだけれど…

なんだか無性にルドルフ様の事が気になって仕方がないのだ。

「アメリナ、そんな顔しないで。ほら、明後日は家で夜会もあるし、もしかしたら素敵な出会いがあるかもしれないわ」

「そうね、私にも素敵な殿方が見つかるといいのだけれど…サーラみたいに」

サーラがグリーズ様のエスコートを受けてから、なんだかんだで２人はかなりいい感じなのだ。どうやらグリーズ様が、ご両親と一緒にサーラの家に挨拶に行ったらしい。その結果、とんとん拍子で話が進み、明後日の夜会で２人が婚約する事が発表される事になっている。

まさかこんなに早く話しが進むとは思っていなかったので、私もびっくりだ。

「アメリナにもきっと素敵な殿方が見つかるわ。私もまさか自分がこんなに素敵な殿方に巡り合えるだなんて思っていなかったの。アメリナが密かにグリーズ様と私をくっつけようと動いてくれていたのよね。ありがとう」

「私は何もしていないわ。グリーズ様は、ずっとサーラが好きだったのよ。だから、少しだけ手を貸しただけ。サーラ、おめでとう。幸せになってね」

「ありがとう。でも、グリーズ様と婚約したからと言って、私たちの関係は変わらないわ。これからもよろしくね」

「もちろんよ、こちらこそ、よろしくね」

幸せそうなサーラを見ていると、私も幸せな気持ちになる。ただ…

やはり気になるのは、ルドルフ様の事。一体彼の身に、何があったのだろう…

なんだかモヤモヤした気持ちのまま家に帰ると

「アメリナちゃん、久しぶり。元気にしていた？」

「おば様、お久しぶりですわ。ええ、お陰様で元気にしております。あの…ルドルフ様が最近学院に来ていない様ですが、どうかされましたか？」

我が家に遊びに来ていたのは、ルドルフ様のお母様だったのだ。それとなくルドルフ様の事を聞きだす。

「それがね。最近何かに憑りつかれた様に、ずっと部屋に閉じこもっているの。私たちが何を言っても上の空で…そうかと思うと、急に外に出ていったりして。本当にどうしたのかしらね。でも、明後日のクレステイード伯爵家の夜会には参加する様だから。アメリナちゃん、あんな子だけれど、また仲良くしてあげてね。それじゃあ、私はこれで失礼するわ」

笑顔でルドルフ様のお母様が去って行った。

ずっと部屋に閉じこもっているだなんて…

「お母様、ルドルフ様、一体どうしたのでしょうか？部屋に閉じこもっているだなんて…」

「アメリナがルドルフ様に冷たくしたからじゃない？そうそう、ルミーナがルドルフ様とアメリナをやっぱり婚約させたいみたいなの。私もルドルフ様とあなたが結婚してくれたら、嬉しいわ。アメリナは特に素敵な殿方もいないのなら、やっぱりルドルフ様との婚約を…」

「お母様、私はまだ14歳です。それにお母様が、好きな殿方と結婚してもいいとおっしゃったのではありませんか？今更好き勝手な事を言わないで下さい。それでは私は、部屋に戻りますので」

「待って、アメリナ…」

お母様ったら、一体何を考えているのかしら？そもそもルドルフ様は、私の事を好きではないのよ。それなのに、おば様までそんな事を言いに来るだなんて！

お母様もおば様も、自分勝手すぎるわ。

ただ…

ずっと部屋に閉じこもっていたかと思うと、急に外に飛び出して行ったりしているだなんて。本当にどうしたのかしら？もしかしてクレア様と上手くいっていないのかしら？でも、当のクレア様は、とても心配そうにしていらっしゃったし…

て、ルドルフ様がどうしようと、私にはもう関係ないはずなのに。どうしてこんなに気になるのかしら？なんだか無性に腹が立ってきた。

こんな時はふて寝よ。そう思い目を閉じたのだが、悲しそうな顔のルドルフ様が浮かんだ。

どうしてルドルフ様の顔が浮かぶのよ！そもそも、どうしてあんなに悲しそうな顔をしていらっしゃるのよ。

考えたくないのに、どうしてもルドルフ様の事を考えてしまうのだ。

ルドルフ様の事を忘れて前に進もうと思っているのに、結局私は、未だに彼を忘れる事が出来ないのね…