第10話 その言葉の意味
東京に行くに当たり、父親と母親にも話しをしておくことにした。
とは言え父親と母親は事前に話をしないと基本的には許してくれないし…そこはちゃんと話しを通さなければ‼
今までだって何度か説得してきた。今回も同じように説得することができれば問題ないはずだ。
そう考えて両親が帰ってきてから話し始めたのだが…
「えっ良いの?」
「ん?あぁ良いぞ。存分に遊んでくると良い。」
「あっありがとう。母さんは?」
「私もいいわよ?別に縛ったりはしないわよ。」
なぜかすんなりと話しが通った。『どうしてだろう?』と考えていたが、検討もつかない。
そこで俺は理由を聞いてみることにした。
「ねぇ母さん。それに父さん。急な話なのにどうして許してくれたの?」
「ん?なんだそんな事を気にしていたのか?」
「いやするよ。そりゃ父さんと母さんはいつも事前に連絡しなさいっていうじゃん。」
「それはそれ。これはこれだ。父さんと母さんは嬉しいぞ。」
「えっ…何が?」
「自分から変わって外に出ようとしている上に、彼女なんて作ってるとはなぁ…お父さん感心したよ‼」
「私もよ。その子の事今度紹介して頂戴?」
なんでその事を知っているんだ…もしかしてあいつが教えたのか?
俺はそう思い、ロボットのように後ろを振り返った。
そこには佳奈が俺の事を見て笑って立っていた。
「こんにゃろ…」
「いや〜お兄ちゃんにとっての大切な人だもんね。お母さんやお父さんも、急に服を買いに行ったお兄ちゃんの事が気になってたみたいだから教えちゃった‼」
とはいえずっと隠すことはできない。それに妹の反応的に、お母さんとお父さんに俺の目的のことは告げていないようだ。
流石の妹でもそこに配慮してくれてるのなら…まぁ良いや。どちらにせよいずれは打ち明けることになってたし。
「いや〜ようやく息子に春が来て嬉しいぞ。季節はもう夏の終りに近いけどな‼ちゃんとその子に優しくするんだぞ!!」
「まぁともかく、私も嬉しいわ。いろいろと頑張って頂戴!!私は貴方のことを応援しているわ‼今日はお赤飯でも炊こうかしら?」
「はは…ありがとう。」
しかし父さんと母さんは悲しむだろうな…息子が付き合ってる相手は嘘告をしてきた女で、そのことを知らない振りして付き合ってるわけだからな。
数カ月後に自然と別れてしまったことを告げられた時、母さんは特に悲しむだろうな。
初めてできた彼女とすぐに別れることになるものの、ちゃんと理由を説明するなりすれば特段問題はないだろう。
父さんは…何もいってこないだろう。
父さんがこういう関係について何か言ってくることはないし、恐らく言ってくることがあるとしてもそれは俺が何かしてしまった時だろう。
例えば俺が彼女に対して暴力を振るったりとか…酷いことをしていると分かったら、父さんは烈火の如く怒り俺のことを責めるだろう。
父さんは常日頃から俺に「優しく」という言葉を多用する傾向がある。
それは父さんが俺に優しくあって欲しいと願っているからなのかもしれない。
まぁ俺はそもそもそんな行動を取らないから何も問題はない。
「ともかく、ちゃんとその子のことを大切にするんだぞ。お父さんのようにな‼」
「私からも言うことは1つだけよ。その子のことをちゃんと大切にして上げなさい。そしていつか私に紹介して頂戴。」
「はは…善処するよ。」
「善処するんじゃない。絶対に大切にするんだ。良いか?」
「分かった。」
とは言ってもな…いつかはバレちゃうだろうな。
後でバレるよりも自分から明かしたほうが心象は良いんだけど…今明かしたら、確実に面倒くさいことになるだろう。
ということで…俺は両親に隠し事をすることにした。
両親はあまり隠し事を好まないけど…これはしょうがない事だ。
「さてと…話は変わるけど、遊びに行くんだったよな?勿論いいぞ。ちゃんと遊んできな。」
「えぇそうよ。今までとは違ってちゃんと外でも遊んでね?」
「うん…まぁ善処するよ。外で遊ぶのも楽しいから良いんだけど、正直部屋でゲームしてたりするほうが楽しいんだよね。」
「そんな事は言わないの‼確かに部屋でゲームをしたりするのは楽しいと思うわ。私だってそうだったもの。でもね?私はちゃんと外で遊んでたのよ。」
「まぁ…俺からは何も言うことはない。俺も部屋でゲームをしていたからな。気持ちはわかる。」
作者の聖羅です!!
10話目をお読みくださりありがとうございます!!
次の投稿は明日の0:10になります‼
是非見に来てくださいね‼
雨で憂鬱かもしれませんが、頑張っていきましょう‼
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます