嘘告された俺は、彼女を惚れさせて振ることにした!?

聖羅 

『天使』のような彼女の裏の顔

第1話 憧れの彼女は…

俺にとって彼女は憧れだった。

彼女の名前は藤沢美奈といい、いつも微笑みを絶やさず、周囲の人に優しいまるで天使のような人だ。

そしてその性格から、いろんな人から好かれていた。

俺もそのうちの一人だ。俺は彼女に恋していた。

授業を受けるときもいつも彼女のことを見つめていた。


そんなある日…俺は下駄箱の中に一通の手紙が入っているのを発見した。

『放課後、裏庭に来てください』と書いてある。


俺は『誰からの手紙だ?』と考えつつも、期待と不安を抱えて指定された場所へと向かった。

そこに待っていたのは……彼女だった。


「あっ手紙呼んでくれたんだね‼良かったぁ〜」

「えっと…どうしてここに?」

「私が手紙の差出人だからだよ‼驚かせてごめんね‼」

つまり…あの手紙を出してきたのは藤沢さん!?

俺は困惑しながらも、彼女から話しを聞くことにした。

「えっと…どうして俺の事を呼び出したんですか?」

「……和真君のことが好きだから!!」

「…………………………え?」

「実はずっと和真君の事を見てたの。それでいつの間にか好きになっちゃんたんだ。私と付き合って欲しいの!!」


俺は突然の告白に頭が混乱した。

まさか憧れの人から告白されるなんて……夢みたいだ。でも、本当に現実なのか?もしかしたらドッキリとかじゃないのか? そんな考えばかり頭に浮かんでくる。


「…やっぱり突然すぎるよね。和真君も困っちゃってるみたいだし、とりあえず返事は今度にでも…」

「その…俺で良ければよろしくお願いします!!」

俺は嬉しさのあまり即答してしまった。

俺は幸せだった。まさか憧れである彼女が俺の事を好きだったなんて…今も驚きで一杯だ。


「本当に!?」

「はい!!」

「ありがとう!!これからよろしくね、和真君!!」


俺と彼女は付き合うことになった。

それから、俺は彼女と幸せな日々を過ごしていた。一緒に登下校したり、休日にはデートをしたり……本当に幸せだった。


しかしある日の放課後、俺は忘れ物を取りに教室に戻ってきた時、見てしまった。

彼女は休み時間にはいつも女子のグループで良く話をしていて、彼女と付き合うことになってからは俺も時々話をするような仲になった。


そんな彼女たちが放課後に教室に残って話をしているのだ。


「ねぇねぇ美奈っち〜あれからどんな感じなの?」

「えっとね……実は付き合う事になったんだ〜」

「まじで!?美奈っち悪い女だねぇ〜」

「でもまさか一時的にとはいえ、本当に付き合ってあげてるとはね〜」

「まぁ私は優しいからね〜それに罰ゲームだからしょうがないよ。」

「キスとかは?そこら辺とかしたの?」

「するわけないじゃん。私がそういうのをしたいって思える人とはまだ出会えてないからね…」


俺は耳を疑った。彼女は俺を騙していたのだ。

俺はショックのあまり、その場を立ち去った。

だが翌々考えてみればおかしい話だった。あんなに可愛い人が俺みたいな陰キャを相手するわけないのだ。


そこで俺は考えた。

『どうにかして一泡吹かせてやりたい』と…

この夏…俺は今までの自分から、新しい自分に生まれ変わる事を決意した。


彼女の告白が嘘告だったことはとても辛かったが、それも成長を促してくれる1つのバネになった。

そして俺は夏休みに入る直前に1つの目標を立てた。

『彼女を惚れさせてその上で振る。』

こうして俺は……新しい自分に生まれ変わる為の夏が始まった。








まず最初に始めたのは、今まで微塵も興味がわかなかった自分の髪についてだ。

とは言え俺には知識がない。そこで頼ることにしたのは美容室だ。


金額はかかるがこれも自分を成長させるため…そう思えばお金を出すことも苦ではなかった。


俺は少し恥ずかしいが妹を頼ることにした。

俺の妹は、休みの日には必ずと言っていいほど何処かに出かけてはいろいろなものを買って帰ってくる。

そんな妹であればオススメの美容室を教えてくれると思ったのだ。


「ねぇ佳奈。オススメの美容室とかってある?」

「…お兄ちゃん急にどうしたの?変な薬でも飲んだ?」

「いや、そういうわけじゃないけど……ちょっとイメチェンしたくてさ。」

「ふーん。分かった。例えばどんな感じの所に行きたいとか何か希望はある?」

「正直、俺には何がいいかさっぱりわかんないんだよね……」


俺がそう伝えると佳奈は少し考えた後、こう言ってきた。


「……だったら私が今日行く美容室一緒に行こうよ。私もそこで切ってもらうし、いつも頼んでる人にお兄ちゃんの事をお願いしてみるよ!!」

「……いいの?でもお金とか結構かかっちゃうよ?」

「気にしないで!!お兄ちゃんのイメチェン記念に今日は奢ってあげる!!」

「ありがとう。」


佳奈はやっぱり出来た妹だ。俺は心の中で感謝した。

そして美容室へと向かった。


「朱奈さ〜ん連れてきたよ〜」

「おっ、ありがとう。それでそちらの方がお兄ちゃんかな?」

「あっはい。よろしくお願いします」


眼の前の美人は朱奈さんと言うらしい。俺は緊張しながら答えた。すると美容師の人が口を開いた。


「そんなに緊張しなくても大丈夫だよ?リラックスしてね。」

「……はい!!」


それから俺は髪を切りながら色々と話をした。その美容師さんはとても話しやすい人だった。


「そういえば今日はどうして急にイメチェンしようと思ったの?」

「実は俺……この夏休みの間に変わってみたいって思って。」

「そうなんだ。それじゃあ私がかっこよく仕上げてあげないとね!!」

「はい!!」


俺は勢いよく返事をした。

その後も美容師さんとの話が盛り上がり、時間があっという間に過ぎていくのを感じた。

そしてカットが終わった時、美容師さんが声をかけてきてくれた。


「髪切り終わったよ!!お疲れ様」

「ありがとうございます!!」


俺がお礼を言うと美容師さんは俺にこう言ってくれた。


「これも持っていきな。私のオススメのワックス。大容量だから結構使いやすくていいよ。」

「いいんですか!?」

「いいのいいの!!その代わりと言っちゃなんだけどさ……また来てくれない?君みたいにかっこいい子はそうそういなくてさ〜」


俺は少し考えた後、美容師さんにこう言った。


「……分かりました。でも、絶対来れるってわけじゃないですからね?」


俺がそう言うと美容師さんは嬉しそうに言った。


「もちろん。いつでもいいよ。」


そんな会話を交わした後、俺たちはお店を出た。そして佳奈は俺の顔を見た後、笑顔で俺に話しかけてきた。


「お〜お兄ちゃん結構イメージ変わったね。私としては可愛い系になると思ってたんだけど、かっこいい系になっちゃったね。」

「そんなに俺の顔は可愛くないだろ…というか男は可愛いじゃなくて、かっこいいって言われたいんだぞ?」

「私はそんなことないけどな〜かわいい男の子も好きだよ。というか、お兄ちゃんじゃないみたい」

「ありがとう。」

いつもの俺は、目元が完全に隠れていたが今は目元もあらわになっている。


「いや〜おごったかいがあるよ!!お兄ちゃんのこんな姿が見られるとは思ってもなかった!!」


そんなに俺は変わっているのだろうか…後で鏡を使って確認してみよう。






作者の聖羅です!!

私の作品をお読みくださりありがとうございます!!

今回の作品はどうでしたか?皆さんの貴重な意見を頂けると嬉しいです!!

⭐️やフォローをしていただけると作者が泣いて喜びます!!


本日の12:15にもう一話投稿します!!

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