道士と白龍と秘密の世界

藤泉都理

第1話 仙界




 無数の岩が空に浮き、ひつじ雲が悠々自適に泳ぐ、風光明媚な仙界にて。

 仙人になるべく修行に励む道士は、一匹の白龍の威圧感に臆することなく、笑顔でお願いした。

 

「私を秘密の世界へ連れて行ってください」

「誰が連れて行くか」

「そこを何とかお願いします!」

「くどい」

「あっ」


 飛び去った白龍を追いかけようとした道士はけれど、次の岩までの距離を考えて跳躍は断念。白雲を呼んだのだが、今は全部出払っていて来られないらしい。


「あ~。しょうがない」


 道士は乗っている小さな岩に横になって、目を瞑った。

 また明日、がんばろう。











(2024.1.31)



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