第2話

「『こたつ』を手に入れたんだ」

 RPGゲームで強力なアイテムを手に入れた報告をするように、立花正樹が嬉しそうに言ってきたのは、明日から大寒波が襲来するとテレビで天気予報士が告げていた、月曜の朝のことだった。

「おー、いいな。鍋やろうぜ鍋」

 こたつでヌクヌクしながら、熱い鍋をホクホクと食す。ウィンターシーズンに置いて、スキーやスノボなんかより、俺にとってそれは最高のシチュエーションである。なのに、

「うーん」

 正樹のレスポンスは何故か歯切れが悪い。

「なんだよ。俺を部屋に呼びたくないってのか? まさかお前、ついにオンナが!?」

 それならそれでめでたい。俺のゼミ仲間である正樹は、ホントにイイ奴なのだ。真面目だし礼儀正しいし貯金もあるし。俺が女なら絶対に逃がさない。世の中の女は全く分かっていない。正樹の顔がちょっとジャガイモに似ているからって、それがなんだっていうんだ。

「いやいやいや、そんなんじゃないよ」

 真っ赤な顔をして正樹は否定する。

「……ただ、ちょっと猫が」

「猫ぉ? 」

 コタツに猫。これでミカンをつければ、絵に描いたような「日本の冬」だ。素晴らしすぎる。超絶ウルトラワンダホーではないか。

「え、なんでなんで。俺、猫にアレルギーとか全然ないよ。全く問題なし。いつでもウェルカム。エニィタイムウェルカム猫ちゃん」

「うーん、でも信じてもらえるかなぁ」

「はぁ? 何を?」

 はっきりとしない回答ばかりの正樹を問い詰めると、奴はこんな話をはじめた。

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