勝者
「じゅ、準決勝の勝者!クォーレっ!圧倒的な剣技が光りましたっ!」
最終的な勝者。
それはクォーレであった。
彼女は剣技によってフリーナを追い詰め、勝利を手繰り寄せたのだ。
「はぁ……はぁ……はぁ……」
フリーナを見下ろすクォーレは息を震わせながら、剣を持つ手も震わせる。
「そろそろ、剣を降ろしてもらえるかしら?」
そんなクォーレの前で、ずっと剣を突きつけられているフリーナは口を開いて早く剣を下げてくれるように告げる。
「あ、あぁ……そうね」
それに頷いたクォーレは慌てて剣を下げる。
「……ふぅー」
それを受けてようやくフリーナが立ち上がってあまり使うことのなかった自分の手にあった剣を腰の鞘へと仕舞う。
「……私は貴方とは違う」
その後に、フリーナはゆっくりと口を開く。
「私は貴方とは出来が違うの……だから、過去のことを正しく覚えているのよ」
「な、なんっ……!?こ、今回勝ったのは私だぞ!?」
直球な挑発の言葉に対して、クォーレは全力で乗っかってくる。
「……わ、わかりなさいよぉ。昔の約束をわ、私は……」
激昂するクォーレに対して、フリーナはたじたじとなりながら恨めし気な視線をクォーレへとぶつけていく。
「……なんだ、その反応」
対戦後。
会話を交わす二人の中の途中で、この国立競技場全体を守っている結界が大きな音を立てる。
「あらあら、どうやら決勝が出来そうな雰囲気じゃないな」
そのタイミングで観客席の方から飛びだした僕はクォーレとフリーナの前へと飛び降りる。
「……ッ!?ぜ、ゼーアっ!?と、というかさっきの音はっ!?」
「攻撃の音だよ」
クォーレの言葉に対して僕は簡単に答える。
「……ッ!?」
それと同時だった。
国立競技場の上空に何か、巨大な大きな魔法陣が描かれたのは。
「あ、ありえないっ!!!あれは正教のっ!!!」
それを見た瞬間。
聖女であるノービアたんが驚愕の声を上げる。
その叫び声を上げたのはノービアたんだけではない、国立競技場に来賓としてやってきている多くの正教関係者が慌て始め、大きな声を上げ始める。
それだけのものであった。
「……だ、大丈夫なの?あれは」
そんな魔法陣を前にしてクォーレが不安げな声をあげる。
「……ッ!」
そして、フリーナの方はクォーレを守るとでも言いたげな態度で自身の魔力を高めていく。
「任せろ」
そんな二人に対して、僕は非常に簡潔な答えを返す。
「ふぅー」
人々からの注目と驚愕の的になっている魔法陣。
それに対抗するように僕の方でも巨大な魔法陣を展開していく。
「蜒輔▲縺ヲ縺ー譛?霑代d縺帙◆縺?↑縺√?√▲縺ヲ諤昴▲縺ヲ縺?k繧薙□繧医?縲ゅ□縺九i譌・蟶ク逧?↓驕句虚縺吶k繧医≧縺ォ縺ェ縺」縺溘j縲∝、懊#鬟ッ縺九i逋ス邀ウ繧呈栢縺?※縺ソ縺溘j縺励※縺?k縺ョ縲ゅ〒繧ゅ?∫區邀ウ謚懊>縺ヲ縺?k縺帙>縺ァ螟懊?縺?▽繧ゅ♀閻ケ遨コ縺?※縺?k」
今回はしっかりとした詠唱を。
世界全体に轟かせるように、魔導の詠唱を唱えていく。
「……来た」
僕が魔法の詠唱を終えるのは相手の魔法陣の準備が終わったのとほぼ同じような頃であった。
上空にある魔法陣が煌き、その膨大なエネルギーが自分たちの方に向けられて放たれると共に、僕の魔法も発動する。
「……うぐっ」
国立競技場を守っていた結界はただの紙屑であった。
僕の魔法だけが国立競技場へと降り注ぐ魔法と相対するように火を噴き、激しくぶつかり合う。
「な、何々っ!?本当に何なの、あの魔法はっ!!!」
激しくぶつかり合うことで国立競技場の上空で大量の力が渦巻く中で、クォーレは悲鳴を上げる。
「あの魔法は卑劣にして不意打ち気味な魔法だよ。この場におわす聖女並びに正教の方々を狙った、ね?」
そんなクォーレの言葉へと僕が答えていた頃に。
僕の魔法が国立競技場の上空から降りそそいだ敵の魔法を完全に粉砕してみせたのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます