隣は誰のモノ?
週明けの月曜日、配られていた「選択科目希望調査票」を担任の先生に提出した。結論をいうと、私が選択した科目は音楽。その事を菅原さんに伝えると、
「鈴原さんのようなお方とご一緒できる事を光栄に思います」と少し大げさに感じるくらい喜んでいた。おだてられると恥ずかしいよ…。
報告を永遠ちゃんと奏ヶ咲さんにもすると、永遠ちゃんはなぜか少し安堵した表情を見せ、奏ヶ咲さんは露骨に悔しがっていた。そんな中、菅原さんがクラスメイトに例の作詞コンテストのことを話したらしく、その事で質問されたりおだてられたりとそこそこ大変だった。ただでさえ目立っていて仕方がないのに〜!
「大変だねー!莉子は人気者だから」朝礼の後、永遠ちゃんとこんなやり取りをする。
「永遠ちゃんだってそうじゃない?」
「悪いことして目立っているわけじゃないからいいんじゃない?」
……たしかに。
「それはそうと、今日は委員会決めとルーム長決め、クラス目標決めだねー。何やりたいかとか決めて来た?」
「あっ……」すっかり忘れていた。そもそも委員会って何があるのかすら知らない。うーん
「ドレニシテイイカワカラナイヨ~!」はっ!しまった!またつい…。今回はそこそこの声量でまた叫んでしまった。今回も数秒の沈黙が起こり、その後、どっと笑いが起こった。
「でた~!」
「最高!これ、クラスの目標にしたらいいんじゃない?」
こんなのがクラス目標になるわけないでしょう?もう……なんて心の中でツッコミを入れてしまう。
「莉子って数日でクラスの象徴になってるね」
「それは永遠ちゃん!あなたもね?あなたもだよ?というか、私に関してはそんなことないから!」
「いやいやそれはないよ。あんなインパクトは私にはないもん」
「なんでよ~!」
そんなやり取りをしている私たちの周りはさらに盛り上がりを見せ、ついには
「鈴原さんがルーム長をやればいいんじゃない?」
「なんなら、未来の生徒会長に!」
「双子でルーム長と副ルーム長をやればいいよ!」なんて声まで出て来てしまった。もう、だ~か~ら~!
「私たちは双子じゃないって~!」
数時間後、みんなの予定通り、私がルーム長に推され、断れない雰囲気になったことで仕方なく引き受けることになった。
その一方で、副ルーム長については、永遠ちゃんと奏ヶ咲さんが推薦され、多数決をとっても同数になるというミラクルが起こり、全然決まらず、今日は議論が持ち越しとなった。私の相方さんは一体どっちになるのだろう。
ちなみに、クラス目標は、
「ヒトツダケナンテエラバナイヨー!~みんなの個性を尊重しよう~」に決まった。
なんでそうなるのよ~!
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