あなたに会いたい…
神稲 沙都琉
第1話
前略
おいちゃん、元気にしてますか?
あれから20年以上過ぎたって知ってます?私、ふと思い出してそんなに経ったんだってビックリしたんです。
何日か前、夢に出てきてくれて嬉しかった。
なぜだか、飲み会の様子。
みんな、親戚かな?友人かな?知ってる顔が数人。ちらほらと。みんな楽しそうにワイワイガヤガヤ。
何処かのお店を借りての大宴会。
凄く広い、その場所にたくさんの人がぎゅうぎゅう。身動き取れないくらいにたくさんの人が座っている、動いているのに苦痛じゃない。
『これ食べな』
『これ飲めっ!』
『酒がそろそろなくなりそうだぞ』
周りの声をよそにおいちゃんただ酒瓶抱いてニコニコしてるだけ。もう、なんの飲み会かは分かんないけど、楽しいならそれでヨシっ!て感じかな。いつも、ひとりで呑んでたからね。相手がいれば楽しいもんね。
と。私と目があう。いつものくっしゃくしゃの笑顔。そして、猛烈に手招き。そげん、激しく手を振らんでもすぐ横に行くよ。
あの約束、叶えることができなかったね。
「ハタチになったら。大人になったら絶対に一緒に呑みに行く」
あんなにお酒はほどほどに呑んどって言ってたのに大好きなもんだから溺れちゃった。
莫迦…
お互いに心残りがあったようで。
でも、コレで約束は守ったことになるのかな。
あと、幾つか保留のままの約束。
ずっと先になるけれどそっちに行ったときに。待っててね。
かしこ。
追伸。
おいちゃん、結婚するときに相手が大丈夫かみてやるって言ってたくせに先に行っちゃったからさ、私の独断でやってみたらやっぱり失敗したわ。
でも、今は子供とふたり楽しくやってる。つもる話しはたくさんあるからそっちに行ったときは覚悟のほどよろしく。
あなたに会いたい… 神稲 沙都琉 @satoru-y
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