第2章 暗黒の魔法使い

花畑を越え、美しい森を抜けて、マフィン、ドルチェ、そしてモンスタールルの3人の旅は次なる土地に続いていた。


旅の途中、ドルチェはなぜ七色に光る石を集めているのかマフィンとルルに話した。

(と、言ってもルルは言葉を理解したかわからないが)


どうやらドルチェが住んでいたクリスタリウム王国が暗黒の魔法使いに襲われ、

なんとか難を逃れたドルチェは預言者の言葉により七色の石を探しているのだと言う。

そして七色の石は世界に7個あるらしい。

ルルの心臓にしたと思われる石が初めて見つけたものだと。


ドルチェが語る預言者の言葉や暗黒の魔法使いを思いめぐらせながら、マフィンは疑問を抱いた。


ある日、夜が訪れ、一行は焚き火の周りでくつろいでいた。

星が輝く空の下、マフィンはドルチェに尋ねた。


『ドルチェ、なんでクリスタリウム王国が暗黒の魔法使いに狙われたんだろう?』


『それは…難しい話だ。』


ドルチェはしばらく黙っていたが、やがて語り始めた。


『我が王国は美しいクリスタルの魔力で栄えていた。しかし、その力が欲しさに、暗黒の魔法使いが我が国を襲ったんだ。彼の名はシャドウネクロス。』


『シャドウネクロスって…恐ろしい名前ね。どんな人なの?』


『彼はかつて我が国の王に仕える魔法使いだったんだ。しかし、欲望と力への渇望が彼を堕落させ、最終的には我が国を裏切り、暗黒の力に取り込まれた。』


『だから彼は王国を乗っ取ったの?』


ドルチェは暗闇を見つめながら言った。『そう。彼はクリスタルの力を欲している。それが彼の暗黒の野望を実現させるための鍵なんだ。』


『王国を救うためには、7色の石を集め、シャドウネクロスを倒さないといけないのね。』


『そうだ。でも彼の持つ暗黒の力は凄まじいよ。』


ドルチェは深刻な表情を見せたが、

モンスタールルは焚き火で作った焼きマシュマロを美味しそうにぺろりと食べ、


『キュルルルル!』

美味しさのあまり夜空に向かって吠えた。


そのあどけなさに少し空気が和らぎ、ドルチェとマフィンは少し微笑んだ。



『それに、預言者は僕に言ったんだ。七色の石を集め、僕が王国の復活を望むことが、王国を救うための鍵だと。


昔、我が王国は美しいクリスタルの力で満ち溢れていた。

しかし、シャドウネクロスの裏切りによってその力は失われ、

王国は暗黒に覆われた。

預言者によれば七色の石を全て集めることで、暗黒の力に打ち勝ち、

王国は再び栄えることができると言われているんだ。』


『それなら、ルルの心臓として入れた石も、王国を救うための一部なのね。』

マフィンは、役に立てることが少し嬉しそうだ。モンスタールルと2人でじゃれあっている。


ドルチェは勢いでルルとマフィンを巻き込んでしまったことに

後悔と罪悪感を感じていた。


(僕は王国のために2人を利用しているのかもしれない。)



満点の星空を眺めながら、それぞれの思いを胸に眠りについた。

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