第67話 夜釣り

 夕食を済ませて外に出ると、もう日が暮れていました。

明るいうちに安全な場所を確保しておきます。

 水面が穏やかなあたりには夜光虫が光っています。こんな日は釣れそうな気がします。最初はブラクリ仕掛けで足元の岩の隙間を探ってみます。ドンコが面白いように釣れました。


 次はソイ狙いで2m位のルアーロッドに夜光のソフトルアーをセットしてちょっとだけ沖に投げました。巻いて来るうちに水面近くでヒットしました。強い引きです。クロソイかな?

収納からたも網を取り出して引き上げます。やった!60㎝クラスのモンスタークロソイです。

その後もマゾイ(キツネメバル)、ゴマソイ、シマソイ、ムラソイ、メバル、ドンコ等が釣れました。大漁大漁。


そろそろイカを狙いましょう。4mの竿にイカツノをセットして、竿先のあたりに照明魔法で水面を照らします。イカが集まってきました。イカツノを海底まで落として静かに巻き上げると急にズッシリと重くなりました。


40㎝位のスルメイカが脚1本で引っ掛かっています。バレないようにたも網ですくいます。

「イカソーメン、イカソーメン」

歌いながら氷水に放り込みます。

キャッ、墨をはかれました。白い仙女服に掛かりますが心配ご無用清潔機能で絶対に汚れません。


20パイ吊り上げたところでイカ釣りは終了。

昼に気になっていた海底が砂地と思われる所が有ったので、底を探ってみようと思います。ひょっとしたらヒラメやカレイが釣れるかもしれません。2本の針が付いた天秤仕掛けで砂底を引きずったり少し撥ね上げて見たりアクションを加えて当たりを待ちます。

来ました。

3㎏クラスの手頃なヒラメです。

お刺身も縁側も結構な量取れます。さばくのにもさほど苦労しません。

しかしこのギザギザした歯並び、如何にも肉食と言った顔つきですね。

座布団ヒラメと呼ばれる大きなヒラメもいるそうですが、私が釣ったことは有りません。

マコガレイも釣れました。煮つけても焼いても美味しいカレイです。

試しにルアーを引いてきたらなんと、スズキが釣れました。

普通川口とか内湾にいるスズキがこんな外洋にいたなんてビックリです。

まあ、自然の事なのでこのようなことも有るのでしょうね。


気を付けないといけないのは取り入れる時に暴れてカミソリのようなエラブタで糸を切ってしまうのです、いわゆる【エラあらい】ですね。

それに針を外す時に気を付けないと、暴れて刃物みたいな鰓蓋で手を切ってしまう恐れが有るのです。


でも白身の肉はお刺身でもムニエルでも唐揚げでも美味しく頂けるので好きなお魚です。


 で、岩を見るとウニや、アワビがびっしりと張り付いています。

 タモで獲るのも面倒くさいので、収納に亜空間を作り海水を入れた大き目の桶を置いておいてそこにウニとアワビを転送しました。マジックボックスに生き物は入れられないが亜空間になら

問題なく入れられるのです。桶には風魔法を付与した魔核を設置して、風(空気)を送って酸欠を防ぎます。出来るだけ泡は細かくなるように調整して有ります。


 休日はあと2日。さて明日は何しましょうね。


干し魚を作りましょう。海タナゴは胎生なので卵ではなく魚の形で稚魚が生まれて来ます。ソイなんかもそうですね。釣り上げた時に大方海にポロポロ落ちたのでお腹の中にはほとんど残っていません知らない人は子供を食べてる共食いだと大騒ぎする人も中にはいます。が、安心してください。出産したのですよ。

身の柔らかい海タナゴも干すことで水分が抜けて味が濃くなって旨味が増します。焼いたときの身崩れも少なくなります。


おっと忘れちゃいけないスルメイカ。

干して炭火であぶってきゅっと1杯いきますか。イカソーメンにした残りのゲソも干しておきます。

錬金空間で圧力をかけて【のしイカ】にしても面白そうです。



そうだまだ渓流釣りしてなかった。岩場の端に沢が流れてちょっとした砂浜になっています。小さな沢ですが岩魚かヤマメが居たら嬉しいな。


短い竿に噛みツブシ錘を付けて岩魚用のちょっと大きめの針を結んで下流から釣り登って行きます。少し上るとほんのちょっとした滝と深みが有りました。ここなら釣れそうです。

滝の上のから川虫を付けた針を流します。私はウキも目印も着けません。糸を張って水の流れに乗せて流しているとグイっと手ごたえが有りました。そのまま引っこ抜きます。

スレていないので太めのハリスでも掛かってきます。綺麗なパーマークが見えます。山女魚やまめです。30㎝越えのいわゆる尺物です。嬉しいですね。締めて血抜きして、エラと内臓を取っておきます。後で塩焼きにして頂きましょう。大分上流に来ました。この辺から岩魚が混じってきました。大きな滝が有りました。滝壺から3つの沢に分かれています。滝壺には大物が潜んで居そうな気配がします。4.5mの延べざおに替えて道糸もハリスも

針も一回り太い糸、大きな針に代えて、餌も川虫からクロカワ虫にして大物に備えます。


来た!大物です。竿が大きくしなります。

タモタモ!

糸を切られないように気を付けながら水面を滑らせて引き寄せてタモに誘導しました。

大きい、この滝壺の主でしょうか60cm位あります、これはもう岩魚と言うよりアメマスと言ってもいいでしょう。

思わず万歳してしまいました。

この上流にも興味が有りますが、今日はここまでにしておきます。楽しみはまだとって置きましょう。


さあ、塩焼き塩焼き、ビールをグビッといきましょう。


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