身に覚えのない異世界転移 2万5千PV完結済み
霞千人(かすみ せんと)
第1章 仙女ユイ
第1話 昼寝から目覚めると
私、川園優衣50歳は40歳の若さで右脳出血つまり脳梗塞になって後遺症で左半身不随になってしまいました。 それから10年、杖を突いてやっと200m歩けるけど、上手くバランスが取れないのでふくらはぎが痛くなって、休み休み歩かなければいけない。走るなんてもってのほかです。
トイレには自分で行けるがトイレットペーパーを切るのにもコツが必要です。
服も右手一本で着替えるのは難しく左肩に引っ掛かってしまうのです。
お風呂は週2回訪問介護のヘルパーさんに手伝って貰っています。
服も出来るだけボタンがないものを選びます。
ブラジャーも手が後ろに回らないので前ホックの物を選びます。
散髪は2カ月に1回知り合いの理容士さんに車で迎えに来て頂いています。
他の方はデイサービスを利用しているようですが、お年寄りの方ばかりなので私は利用していません。
ご飯は朝はパンにコーヒー。昼と夜は宅配サービスの弁当を昼の分を半分夜に回しています。病気をして退院後10㎏も太ってしまったので、ご飯を半分に減らしているのです。
料理は週に1回訪問ヘルパーさんに作って頂く事もあります。
その材料の買い物は週1回料理の日の前日に買い物に行って貰っています。
その他の買い物は生協の宅配を利用したり、通販を利用しています。
両手両足が自由に動かせる有難みを今になって身に染みて感じているのです。
私はこの年まで独身です。一時は婚約直前まで行った相手もいましたが私が半身不随になったとたん逃げられてしまいました。
そりゃそうだよね、何かに手がかかる女を一生支え続けなければならないなんて、何の罰だってことだもんね。私が逆の立場でも考えてしまうよね。身内が誰もいないので今は独り暮らしです。
病気になる前は、普通に事務職で働いていましたが、会話の際に呂律が回らなくなったので退職しました。
明日病院に行こうと思った直後に入院する羽目になりました。
退職しても若い頃宝くじにあたった5億円を元手にコツコツと株で稼いでいたので、生活出来ています。幸いマンションは自分の持ち物件なので家賃の心配は有りません。
逃げて行ったアイツには預金残高もマンションの件も教えていなかったのが幸いでした。教えていたらお金を持ち逃げされていたに違いないです。 今でも右手一本でパソコンを操作してデイトレードでコツコツ稼いでいるので老後の資金には困りません。
但し、もしも入院とかになる場合の保証人になってくれる人が居ないのが身内の居ない独り身の弱点です。
因みにこの時の保証人は親友の絵梨花がなってくれたのですが、今は旦那さんの海外赴任について行ってもう日本には居ません。もし今私が死んだら引取る人の居ない遺体になってしまいそうです。
病気のせいなのかどうか、昼寝をしないと頭が痛くなってしまいます。
昼ごはんの後歯磨きをして直ぐにベッドに横になります。
少なくとも30分は眠りたいのです。
という訳で今日も昼寝しました。
目を覚ますとなんだか体が軽い。伸びをすると左手も動きました。
トイレに行こうとベッドを降りると自然と杖無しでスタスタ歩けました。
(えっ私治った?)
試しに左足で片足立ちしてみました。
バランスが取れています。嬉しい。10年振りです。
半身不随の時はマヒした左足がぐぎっと捻挫してしまいそうなので足首を固定する
洗面所で鏡を見ると何と20歳代の若かった頃の私がそこにいました。私は思い切って古い両足同サイズのスニーカーを取り出して立ったままで靴を履き念の為にステッキを持って玄関ドアを開けました。
今までは椅子に座ってじゃないと靴も履けなかったのです。
外に出るとアスフアルト舗装の駐車場が土の広場になっていました。他の人の車が1台も有りません。
「どこ?ここ?」
ご近所の家もビルも無くなっています。
空にはドラゴンが飛んでいます。なに、ここ異世界?
まだ夢を見ているのだろうか?私は、家に戻り
(今日はこの部屋で過ごそう、明日の朝は元に戻っているかもしれない)
そう思って部屋に入りました。
翌朝周囲の景観も身体の自由も夢では有りませんでした。
こうなった原因は身に覚えは有りません。
トラックに跳ねられてもいないはずですし、
魔法陣も見ていません。
知らないうちに死んでしまったのでしょうか。
それにしても神様にも会っていません。
私は今後どうすればいいのでしょうか。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます