第一話 ぴえん系地雷ファッション座敷童、来る
青函トンネルを抜けた。
列車を降りた。
改札を、通る。
あー!リュックが引っかかる!
この!!
「ね、ね、その服ぅ! リボンいっぱいで可愛いー!」
小娘に声をかけられる。
ぴえん系地雷ファッション、わっちの仲間か。
「それ、何て言うの-?」
何と言ったかの、どれ……スマホスマホ。
「髪もピンクで綺麗-!ハーフツインも!」
「そうかの」
わっちの外見が小娘とさほど変わらないからと言って、舐めた口の利き方をしよる。
そも、初対面じゃぞ?
距離感バグっておるのか、こやつ。
「どこのお店で染めたのー?」
「わっちが自分でやった」
「え、すご!てか、わっちって何!ウケる!」
「やかましい」
スマホを使っておる時に話しかけるでない。
分かっとらん小娘じゃ。
「して、この服はの……キラキラツイードリボンジャンスカという」
「名前ながっ! どこのお店-?」
「アンくるくるクルージュ」
「マ? アンクルなら、すぐそこのパセリイーストにもあるじゃん!」
愛用しておるブランドの名を告げると、小娘は走り去って行った。
礼も申さぬとは無礼者め。
時代が
*
「君、ちょっと時間ある?」
無視!
岩手県遠野市からの道のり。
能力を使えば一瞬。
たまには散歩も、と思ったのは失敗じゃった。
「どっかのコンカフェの子?店教えてよ!」
無視!!
ええい、鬱陶しい!
「うわ荷物エグ!持とっか?」
無視!!!
南に歩くこと九分。
「写真お願いしてもいいですか?」
「うむ、構わぬぞ」
「ありがとうございます!」
仲睦まじい男女の撮影を手伝ってやる。
やはり、たまにはこういうのも
大きな時計のついた白い木造建築。
見窄らしいが温かみもある。
名前は何と言ったかの。
とにかく、ここを左に曲がれば十五分も歩かぬうちに機関じゃ。
おや、あれは……
*
「おい、
『お座敷様!』
『お久しぶりですー!』
「今日のわっちは休日じゃ」既読
『そか』
『なら、かよちゃん!久しぶり!』
『いきなりどうしたんです?』
『何かありましたー?』
夏奈は相変わらず、せっかちな奴じゃ。
わっちが返信を打っておると、さらに追撃で小さくて可愛いキャラクターのスタンプが送られてくる。
「何か、もなにも」既読
『うんうん』
「無闇に街中で飛ぶでない」既読
『え』
「出すな、翼を」既読
『なんで分かったんですー?』
「見えるに決まっておろう」既読
「わっちは今」既読
「パナタワーのすぐそばにおる」既読
「聞いておるのか」
「おい」
既読が付かんくなった。
ふと見上げるとタワー頂上から、夏奈の姿が消えておる。
四方にデジタル時計のついた赤い鉄骨造。
この街の中心、パナタワー。
以前倒壊し、わっちの力で直してやった。
「かよちゃーん!」
「騒々しい奴じゃの」
金色に輝く短髪。
制服姿の
「わー、おっきなリュック! 山とか行ったんです?」
「行かぬ」
「そう言えば、どうして北海道に?」
「今日が何の日か忘れたか?」
「そうだ! バレンタイン!」
「うむ」
「私も用意したんだった、チョコ!」
「謙一に渡すんか?」
「謙一先輩と……みんなに!」
「おん、では参るか」
いざ、遠野対策機関北海道支部へ。
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