冷たい
鈴乱
第1話
言葉を吐けば吐くほど、僕の唇は冷たくなって、凍えていく。
僕の体も心も熱を失って、ただ抜け殻のような姿で笑っている。
笑いたいのか、泣きたいのか、そんなことももう分からなくなってしまった。
でも、今はそれでいいと思ってる。分からないなら、分からないままで。
きっと、心も体もいつか冷え切って、何の音も発しない時が来るだろう。
それなら、その時まで、せめてもの言の葉を紡いで、誰かに熱を届けられたらいい。
どうせ、僕が吐くのは嘘だから。
嘘だけど、それが人をあたためるなら、別にそれでいい。
この世界がちょっとだけあたたまるなら、僕の嘘にも意味はあるんだろ。
僕なんて、存在自体が嘘みたいなもんだから。嘘で彩った毎日だから。
それなら、それでいい。
これが、僕が選んだ生き方だ。
僕の熱が誰かに宿れば、それで僕の嘘は永遠になる。
僕の熱は……あとどのくらいもつかなぁ。
冷たい 鈴乱 @sorazome
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます